『デザインの女王』Nanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)が織りなす、時を超える美しいテキスタイル
CONNECTスタッフのimaiです。Kvadrat(クヴァドラ)の人気デザイナーについてご紹介するBLOG第二弾。(前回のBLOGはこちらから。Kvadratについてはこちらの記事をご覧ください。)
CONNECTで取り扱いのあるデンマークを代表するテキスタイルメーカー、Kvadratの生地ついて日々勉強をしている中で、ある生地に出会い、驚きの共通点に気づきました。
それは、私が以前から気になっていたFredericia(フレデリシア)の『トリニダードチェア』と、Kvadratの『Hallingdal65(ハリンダル65)』という生地は、同じNanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)というデザイナーの手によるものだったという事です。家具だけでなく、テキスタイルもデザインしていた彼女の多才ぶりに、ますます興味が深まりました。
今回はそんな才能豊かなデザイナー、ナナ・ディッツェルについて、ご紹介したいと思います。
Nanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)とは・・
『デザインの女王』と呼ばれたナナ・ディッツェルは、20世紀を代表するデンマーク出身のデザイナーです。家具のみならずジュエリーからテキスタイルまで幅広い分野のデザインを手がけました。
自由を愛し、革新を追い求めたナナ・ディッツェル。型にはまることを拒み、常に新しい表現に挑戦し続けました。女性デザイナーとして活躍の場が限られていた時代においても、自分の才能を信じ、独自のスタイルを確立したのです。
女性の視点を取り入れた、上品で華やかなデザインは、住宅や公共施設など数多くの空間に彩りを添えています。そして、彼女の活躍は、後の女性デザイナーたちに大きな影響を与え、デザインの世界に新たな風を吹き込みました。
Kvadartとナナ・ディッツェルの歴史
ナナ・ディッツェルとKvadratの出会いは、まさに運命的なものでした。両者とも、高品質な素材と洗練されたデザインへのこだわりが共通しており、互いの才能を認め合い、コラボレーションすることになったのです。そして、Kvadratの最初のショールームをナナ・ディッツェルが手がけました。
彼女の好きな色、ターコイズブルーとピンクで彩られています。
ナナ・ディッツェルが生み出した生地
①Hallingdal65(ハリンダル65)
58色展開
Kvadratを代表する生地の一つで、なんと800万メートル以上も販売されているロングセラー。発表から半世紀以上が経った今でも、世界中で愛され続けています。その理由は、まるで宝石箱のような豊富な色彩と、触れる人に安らぎを与える肌触り、そして世代を超えて長く使える耐久性にあります。
その歴史は古く、1952年、ナナ・ディッツェルが手がけた初期の名作チェア「ND-01」のために、生み出された生地がルーツとなっています。1965年に新しい色やデザインを取り入れ、Hallingdal 65として生まれ変わり、Kvadratから発表されました。そのことから、名前に“65”という数字がついています。
この生地に出会ったことでKvadrat社が誕生し、Kvadratのウール生地の基礎となったことから、Kvadratの“原点”と言える歴史の深い生地なんです。
また、Hallingdal65は、植物の葉脈や石の模様、色とりどりの花々など、自然からインスピレーションを得てデザインされました。
驚くべきことに、1965年に彼女が創り出したカラーパレットは、今も当時のままなんです。
Kvadratの高度な染色技術によって、当時の美しい色が忠実に再現され、保たれ続けています。どこか温かみのある風合いとタイムレスな美しさは、まるで自然の一部であるかのように、私たちの暮らしに溶け込みます。
生地には単色と混色(2色使い)の2種類あり、爽やかなパステルカラーから深みのあるアースカラーまで、豊富なカラーバリエーションが特徴です。紡ぐ前にウールを先染めすることで、深みのある色彩が生まれています。
▲Hallingdal65/0944(単色)
▲Hallingdal65/0407 (混色)
生後1年未満の羊の毛を刈り取ったニューウール(70%)と、木材パルプが原料のビスコース(30%)で織られています。ウールの温かみのある風合いと、ビスコースの美しい光沢が絶妙に調和し、伝統的な平織りの、シンプルでありながらどこか奥深さを感じさせるデザインは、時代を超えて愛される普遍的な美しさを備えています。
こんな家具にオススメ!
▲Hallingdal65/0960(単色)
Hallingdal65の表面は最初、チクチク感じるかも知れません。しかし、座った時に摩擦が起こり“滑りにくい”という利点があることから、毎日使うダイニングチェアやラウンジチェアに張るのがオススメです。経年変化で美しく滑らかな触り心地になり、さらに色褪せしにくいので、長く愛用したいお気に入りの家具に張ると、時を経ても美しい状態を保ってくれます。
また、ヴィンテージの家具に張るのもオススメ。当時から変わっていない色合いは、60年、70年前のヴィンテージ家具にも相性バッチリです。
②Sisu(シス)
16色展開
前述のHallingdal65をベースに、より現代的なデザインを取り入れた生地です。
Sisuは、Hallingdal65よりも少しカジュアルな雰囲気であり、幅広い空間で取り入れられるデザインです。虫眼鏡でHallingdal65を見ているような感覚を覚えます。
▲左:Hallingdal65 右:Sisu
糸は太めで表面は凹凸感があり、表情のある織り感が魅力です。縦と横で2色の糸を使用した混色の生地なので、近くで見るとハッキリと大胆なブロック模様が浮かび上がります。しかし色によっては遠目で見た時に、単色に見える生地もあり、深みのある色合いや、繊細なテクスチャーが織りなす表情は、見る距離や角度によって変化し飽きさせません。
▲Sisu / 0645 横糸はピンク、縦糸はレッドの糸を使用しています。
こんな家具にオススメ!
▲Sisu/0105
色鮮やかで立体感のある織り感は、表情豊かで目を惹く生地なので、シンプルなデザインのソファなどに張ると、空間の中でいいアクセントになってくれます。家具を主役にした洗練されたコーディネートに最適です。あなたのお気に入りの空間に、彩りを添えてくれます。
設計デザインをされている方は、壁に生地を張る使い方もオススメです。Kvadratの生地の、豊かな色彩とデザインは、空間デザインに新たな表現力を加え、個性豊かな空間を創り出します。また、防音効果も備え、美しさと機能性を両立できるので、様々な可能性が広がるのではないでしょうか。
ここまで、ナナ・ディッツェルという偉大なデザイナーと、彼女の生み出した美しい生地についてご紹介しましたが、とはいえ、ウール生地に対して不安や疑問を持っている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、Kvadratのウール生地が持つ魅力と特徴についてもご紹介します。
ウール生地への疑問を解消!
『ウール生地は、チクチクしそう‥』『汚れやすい?』『耐久性、色褪せってどうなの?』というような不安や疑問は、ウール生地に対する一般的なイメージかもしれません。しかし、Kvadratのウール生地は、これらのイメージを払拭するような、驚くべき特徴を持っているのです。
Kvadratのウール生地の特徴
【柔らかく上質なウール】
Kvadratのウール生地は、ニュージーランドの高原でのびのび育った羊毛を使用しており、柔らかく肌触りがとても良い生地を、数多く取り揃えています。中には多少チクチク感じる生地もあります。ですが、使い込めば使い込むほど表面は滑らかに、気持ちのいい肌触りに変化していきます。また、チクチク感というのは、摩擦によって“滑りにくい”といった利点があり、実用的な機能を兼ね備えているのです。経年で美しく変化するウール生地はまさに『育てる生地』と言えるでしょう。
【耐久性が高く長く使える】
天然繊維の中でも特に耐久性が高いのがウール。特にKvadratの生地は、厳格な品質管理のもと実施される耐摩耗試験において高い数値を記録し、その耐久性が実証されています。摩擦や引っかきに強く、型崩れしにくいため、ソファやチェアなど毎日使うものにもピッタリ。大切な家具を長く美しく保ってくれます。
【汚れに強い】
実は、ウールは汚れを寄せ付けにくい素材なんです。水をこぼしてしまった時、化学繊維や綿などはすぐ染み込んでしまうのに対して、ウールは水を弾いてくれます。ウール繊維の表面には、ラノリンと呼ばれる脂質の膜が覆われているため、このラノリンがウールを水から守る役割を果たしているのです。
【色褪せしにくい】
羊の毛を紡いで作られているウール繊維の一番外側には、キューティクルと呼ばれるうろこ状の層が、鎧のように繊維を保護してくれているため、太陽の光や摩擦などによる色褪せが起こりにくいです。Kvadratのウールは、さらに、色褪せしにくい染色技術も駆使しているので、より長く美しい色合いを楽しむことができます。
いかがでしょうか。ウール生地に対するイメージは変わりましたか?天然素材ならではのぬくもりと、高い機能性を兼ね備えたKvadratのウール生地は、まさに「一生もの」と言えます。
ウールについて詳しくはこちらから。
生地サンプルの貸出については、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
ナナ・ディッツェルの時を超えて愛されてきたデザインは、私たちの暮らしに長く寄り添い、上質なウールの触感と豊かな色彩で、心に安らぎを与えてくれます。あなたの暮らしに、上質な素材と美しいデザインを取り入れてみませんか?
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この記事を書いた人
imai
CONNECT東京スタッフです。インテリア・建築・アートが好きで、休日は気になる場所へ足をはこんでいます。お客様の暮らしが心地よく豊かになるお手伝いができるよう日々北欧インテリアの勉強に励んでいます。