お寺に北欧家具!? 日本の伝統と響きあう名作たちを、京都で体感。

こんにちは、CONNECTスタッフのハセガワです。

北欧家具の名作が、京都のお寺で見られるらしい。
一見何の関係もなさそうな日本のお寺とデンマークの北欧家具。でも実は、お互いに共鳴する美学があるのです。

その何たるかを実際に体験ができるのが、デンマークの家具ブランド FRITZ HANSEN (フリッツ・ハンセン) が主催する「ポール・ケアホルム展in京都」。
デンマークの巨匠、ポール・ケアホルムが生み出した北欧家具の名作たちが、京都の由緒あるお寺・建仁寺の両足院に一堂に会す特別なイベントです。


▲写真手前:PK24 (ラウンジチェア)

今回は、そんな貴重な展示を訪れた僕が、その魅力をたっぷりご紹介します。
日本の伝統と北欧家具という遠く離れた二つの文化が見事に融合した、大興奮の展示でした。

 

 

 

そもそもポール・ケアホルムって誰?

北欧家具の歴史に名を残す巨匠、ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm)
1929年にデンマーク北西部の田舎町で生まれ、15歳で家具職人に弟子入り、18歳でキャビネットメーカーのマイスターの称号を取得。その後、ハンス J. ウェグナーのもとで学び、バウハウスからも大きな影響を受けます。
PK22PK80をはじめ、唯一無二の研ぎ澄まされたデザインで、数々の名作家具を世に残してきたデザイナーです。

現在は、家具ブランドFRITZ HANSEN (フリッツ・ハンセン) より「ポール・ケアホルム コレクション」として展開されている彼の家具。デンマークのクラフトマンシップを継承しながら、金属や天然素材を組み合わせたミニマルで洗練されたデザインが特徴です。その才能は、後世のデザイナーにも大きな影響を与えています。


▲ポール・ケアホルムの自邸。右手前にPK31 (ソファ)、奥にはPK11(デスクチェア)とPK51(デスク)が映っており、彼が自分自身の作品を自邸で愛用していたことが分かる。

ポールの妻・ハンナは建築家で、大の日本好きでした。彼女が建てたケアホルム一家の自邸には、日本の伝統的な建築様式の影響が随所に見られます。
そんな環境でデザインを続けたポールも、日本の建築や芸術から多大なインスピレーションを得ていたようです。
形と機能、空間と素材の絶妙なバランスを考え抜いた末に生み出される名作たち。日本建築が目指す空間の連続性や自然との一体感に通じる精神性を、彼は持っていました。

■ポール・ケアホルムのアイテム一覧はこちら

 

 

 

いざ、展示会場へ!

今回の舞台は、京都の建仁寺の中にある、一休宗純ゆかりの禅寺「両足院」。1359年に創建された、禅の教えと日本文化が融合する由緒正しいお寺です。特に静寂と調和を重んじる禅の精神が深く反映された建物や庭園には、隅々まで美意識が行き届いており、すっと落ち着いた心地のする場所でした。


▲出迎えてくれたのは、企画展特別仕様の提灯。歴史ある寺院と現代の北欧家具がどのように融合しているのか、期待が膨らみます。


▲会場入口のキャプションには、ポールの子供たちから寄せられた貴重なメッセージも。

 

 

 

第一の間:日本建築と北欧家具の調和「大書院」


▲写真手前:PK54 (ダイニングテーブル) / PK9 (ダイニングチェア)

最初の見どころは、一室の和空間にポールの家具が美しく設えられた「大書院」。
その全貌を目にした瞬間、思わず息をのみました。和室と北欧家具がこんなに美しく調和するなんて!

まず感じたのは、「静寂の美」。
ポールの家具の代名詞ともいえるマット仕上げのスチールが、静かな光沢感を放ち、空間全体に「静けさ」を広げていました。
また、重心の低いデザインが和建築の天井の低さにフィットし、美しい余白を生み出しています。「間」を大切にするという日本の伝統的な美意識に通ずるものがありますね。


▲写真中央:PK80 (デイベッド)

さらにもう一つ強く感じたのが、「自然とのつながり」です。和室に使われる畳や土壁、障子などの天然素材と、ポールの家具に使われる大理石や籐といった風合い溢れるマテリアルが絶妙に調和しています。
縁側から見える庭園の眺めも格別で、家具越しに見る景色がまた一段と特別感を引き立てていました。(僕が行ったときはちょうど紅葉のピークで最高でした!)
軒を抜けてくる静かな陽光と、家具の洗練されたフォルムが生み出す陰影が折り重なり、外の自然と地続きで一体となっているような感じがしました。


▲写真中央:PK0 A (ラウンジチェア)

 

 

 

第二の間:こだわり抜かれた構造美に感動「方丈」

次に訪れた「方丈」の間では、ポールの家具が分解展示され、精巧な構造美を堪能できる空間が広がっていました。家具がどのように作られているのかを間近で見ることができ、思わず「すごい!」と声が漏れました。
まさに超ミュージアム級、家具好きや建築好きはいつまでも見ていられるような壮観な展示で、ポール・ケアホルムの魅力にどんどんはまっていくこと間違いなしです。


PK22(ラタン)の籐編みの途中の様子。世界でもこの籐編みを任されるのはごく少数の熟練の職人のみ。

ムダを徹底的にそぎ落とした「引き算」の美。パーツの一つ一つが緻密に計算され、絶妙な「すき間」を生むことで抜け感や浮遊感を実現しています。
和室は、真壁と呼ばれる柱や梁がそのまま現れた構造が特徴です。だからこそ、柱や梁のモジュール感と、ミリ単位で精巧に設計されたポールの家具の構造美が一体となることで、空間全体にリズムが生まれ、洗練された心地よい空間になるんですね。


PK22のシート部分のフレーム×6。厳格なフォルムの中に、さりげない曲線美が自然を感じさせます。

 

 

 

まとめ

「ポール・ケアホルム展 in 京都」は、日本人としても、北欧家具好きとしても、見どころ満載の企画展でした。
日本人が昔から大切にしてきた伝統的な美意識を再認識すると同時に、また新たな視点から、北欧家具の魅力にも気づかされました。

これはぜひ現地で体感してほしい!
流れる時間や空気感、他では味わえない特別なひとときを、京都で味わってみてはいかがでしょうか?

■和空間と北欧家具の相性について、もっと知りたい方はこちら

 

 

ポール・ケアホルム展 in 京都

 

開催概要

会期:2024年12月21日(土)~2025年1月19日(日)※12/30〜1/3 休館

会場:両足院 京都市東山区小松町591

開館時間:13:00~17:00(最終入場は16:30まで)

拝観料:1,000円(現金のみ)/ オンライン予約優先入場

主催:フリッツ・ハンセン

 

 

「PK23」が日本初公開

幅広く低めのフォルムと、左右対称の有機的なシートデザインが印象的なラウンジチェア「PK23」が、約70年の時を経て、ついにその姿を現します。1954年、成形合板の可能性を無限大に感じたポール・ケアホルムは、巨匠アルネ・ヤコブセンとの競演の中で、自らのデザイン哲学を追求し、この傑作を生み出しました。

そんな「PK23」がついに《ポール・ケアホルム展in京都》にて日本発公開となります。

PK23について詳しく知りたい方はこちら

 

 

会場限定の書籍も発売

会場でしか手に入らない、非常にレアな書籍。ポール・ケアホルムの作品と日本の伝統美がいかにつながっているかが、この一冊の中に詰まっています。美しい写真も満載で、これを手に入れるだけでも現地に行く価値があると言えるほどのクオリティです!

 

 

 

CONNECTでもポール・ケアホルム コレクションを実際に体感できます!

CONNECTでは、岡山・丸亀・札幌にて、ポール・ケアホルム コレクションを多数展示しております。気になるアイテムを実際に体感していただくことができますので、ぜひお越しください。

※丸亀・札幌は事前予約が必要です。ご希望の際は、下記の番号までご連絡ください。

 

■岡山
Tenmaya Premium Living Gallery By CONNECT
〒700-0822 岡山県岡山市北区表町2-2-68
天満屋岡山 本店 リビング館
TEL:086-231-7610

■丸亀
CONNECT HOUSE Planning Studio
〒761-2407 香川県丸亀市綾歌町富熊428-1
TEL:0877-85-9717

■札幌
CONNECT 札幌ショールーム
〒060-0909
北海道札幌市東区北9条東6-2-23 北9条シティハウス 1階
TEL:011-768-7177

また、CONNECT東京スタッフによるFRITZ HANSEN TOKYO (フリッツ・ハンセン直営ストア) のご案内も可能ですので、ご希望の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

■CONNECT東京オフィスお問い合わせ先
TEL:070-9201-3293

■フリッツ・ハンセン直営ストア
FRITZ HANSEN TOKYO
〒107-0062
東京都港区南青山2-27-14 1F&2F

 

 

 

 

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この記事を書いた人

hasegawa

hasegawa

インテリアと音楽が好きです。忙しい毎日に、ゆっくり考えごとができるような時間と空間が、少しずつ広がっていくといいなと思っています。暮らしに対する愛着がふえていくような言葉を書いていきたいです。

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