北欧ラグの最高峰 KASTHALL(カスタール) – セシリエ・マンツの美学に触れる

KASTHALL

CONNECT東京オフィスのimaiです。皆さんは、お部屋の雰囲気をガラリと変えたいと思ったことはありませんか?

私は、日々ラグについて勉強する中で、お部屋に温もりや彩りを与えられるラグの重要性や、見た目だけでなく、様々な機能をもつラグの奥深さに魅了されています。

そんな中、スウェーデンの老舗ラグブランド、KASTHALL(カスタール)の新作ラグの展示会が、人気デザイナーのセシリエ・マンツを迎え開催されるということで、私も会場へ足を運んできました。

会場に一歩足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは、まるで自然の一部を切り取ったかのような温かみのある色彩で織りなされた、想像をはるかに超える美しいラグの数々。

KASTHALL

彼女が手掛けた、新作コレクションを間近で見ることができ、ミニマルで創造性豊かなデザインに一瞬で心を奪われました。

今回は、そんな息をのむような美しさに満ちた展示会の様子を皆さんにお届けしたいと思います。

北欧ラグの最高峰と称されるKASTHALLですが、日本ではまだまだ知られていないため、まずは、ブランドやデザイナーについてご紹介します。

KASTHALL(カスタール)とは

KASTHALL

KASTHALLは、1889年にスウェーデンのシンナという土地で誕生した、130年以上の歴史を誇るラグブランドです。

世界30カ国以上で販売されており、世界で名高い高級ホテルやレストラン、さらにはスウェーデン王室にもその品質が認められています。世界中に拠点を置きながらも、すべての製品は今でもシンナにある自社工場で製造しています。

素材へのこだわりは、創業時から現在まで一貫しており、厳選されたニュージーランド産の上質なウールや、ノルマンディー産の美しいリネンなどの天然素材を使用しています。

長きにわたり受け継がれてきた伝統的な手織りの技法と、最新の機械技術を融合させた卓越した技術力が特徴。100以上の製造工程のうちのほとんどは、熟練した職人の手作業によって行われており、一つ一つ丁寧に製造されています。

それは、KASTHALLがラグに込める、伝統への敬意と、革新への挑戦、そして、お客様への想いの現れと言えるでしょう。

KASTHALL

その上質な素材選びと丁寧な作り込みにより、他に類を見ない高い耐久性と、年月を経るごとに深みを増す美しさを実現しています。


新作『LANDSKAB(ランドスカブ)コレクション』について

KASTHALL

2024年に発表されたLANDSKABは、デンマーク語で「風景」を意味し、セシリエ・マンツとKASTHALLとのコラボレーションから生まれたコレクションです。北欧の風景からインスピレーションを得たこのコレクションのために、彼女は「控えめながらエレガントで洗練された、最も美しい素材のひとつ」と語る“リネン”をすべてのラグに取り入れています。

ラグの制作にあたり、アトリエに小さな織機を購入し、自ら織機を操作することで素材の特性を深く理解しようと努めました。その探究心の深さが、このコレクションに唯一無二の価値を与えています。

リネンは、通常、機械で平織りのラグを織る場合、糸が切れてしまう恐れがあるため、横糸に使用することができません。しかし、横糸にもリネンを使用することにこだわった彼女の想いに応え、KASTHALLは糸の開発から行い、高度な技術との融合により、この特別なコレクションが完成しました。

KASTHALL
▲KASTHALLが新たに開発した特別な糸。ウール糸にリネン糸を巻き付けて1本の糸にしています。

 

Cecilie Manz(セシリエ・マンツ)とは

KASTHALL

デンマーク出身のデザイナー、セシリエ・マンツは、現代の北欧デザインを代表する一人です。

シンプルながらも温かみがあり、機能性と美しさを兼ね備えているデザインが特徴です。陶芸家の両親のもとで育ち、幼少の頃から芸術に触れる環境で過ごしました。そのため、そのデザインには、素材に対する深い理解と、手仕事に対する敬意が感じられます。

セシリエ・マンツは、その才能を活かし、家具だけでなく、照明器具・食器・ガラス製品・テキスタイルなど、非常に幅広い分野で活躍しています。彼女の代表的な作品としては、CONNECTでも人気の照明「カラヴァッジオ」や、家具の「エッセイテーブル」が挙げられます。


会場の様子

セシリエ・マンツが手掛けた作品の数々がずらり。なんとそこには、彼女が手掛けた家具も展示されていました。普段、同じデザイナーが手掛けた家具やラグでも、ブランドが異なると一度に見る機会はなかなかありません。今回、一つの空間で見ることができ、セシリエ・マンツのミニマルで洗練された世界観、彼女のデザイン哲学を肌で感じることができました。

KASTHALL

KASTHALL

会場の奥には、セシリエ・マンツがデザインしたラグの、デザインの原点ともいうべきデッサンが飾られていました。このデッサンから、最終的な作品へと繋がっていく過程を想像することができ、大変興味深かったです。
 
KASTHALL
▲デッサンと素材の展示
 
また、彼女が購入した織機で織られた作品や、インスピレーションを得た様々な素材(石、紙、畳、麻、枝)を組み合わせた展示があり、彼女の世界観がそこには凝縮されていました。
 

KASTHALL

KASTHALL

KASTHALL

素材の中に、畳の井草があるように、親日家である彼女のデザインには、どこか日本の侘び寂びの”美”や静謐さを感じます。日本の繊細な美意識と、西洋の洗練されたデザインが見事に融合しているからこそ、多くの人々を魅了する普遍的な魅力があるのではないでしょうか。

KASTHALL

今回、デザイナーご本人から、デザインの背景や作品に込めた想いを直接伺うことができ、とても贅沢で貴重な時間でした。

特に印象的だったのは、インスピレーションの源が「織り」であったことです。KASTHALLの卓越したクラフトマンシップに惹かれ、「新しい技術を表現したい」という情熱から、色の表現方法や柄の見え方など試行錯誤を重ねて生み出されたことを知り、彼女の探求心に深く感銘を受けました。

また、今回のコレクションは、Gryn(グリュン)というラグが最初にデザインされたそうです。北欧の伝統的な平織りラグに着想を得て、硬くて薄い長持ちするラグを作ろうとしたのが始まりだったといいます。そこから、毛足の長いÅlegræs(オーレグラス)や他のデザインが生まれたというエピソードも教えていただきました。

『Grynは、硬くて日本の畳みたいでしょ』と、笑顔でそう語る彼女。確かに、どこか懐かしい和の要素や、優しい温もりを感じるGrynは、日本の住空間に自然と溶け込むような魅力があります。

KASTHALL
▲Gryn (グリュン)
 
 

新作ラグについて

LANDSKABコレクションは2種類の製造方法によって作られており、全4種のデザインで構成されています。

「リネンは光に当たるとキラキラ煌めく。海を見た時に、水面に光が反射して輝いている情景を、どうにかリネンで表現できないかと考えました」とセシリエ・マンツは語ります。

その言葉通り、LANDSKABコレクションのラグは、まるで光を捉え、空間に豊かな表情を生み出すようにデザインされています。

織り方に関しても、彼女のこだわりが光ります。

「織りが強調されすぎると、模様に見えてしまう。私が作りたいのは、模様ではなく、繊維の集まりや組織の絡み合いそのものにフォーカスしたラグ。KASTHALLと試行錯誤を重ね、模様をいかに崩すか、その方法を追求しました。」

「毛足の長いタフテッドラグ(Ålegræs)は、同じ長さの糸を使うと歩いた後に跡が残りやすい。それならば、最初から乱れた状態を作ればいいと考え、長さの異なる3段階の糸を使用しました。意図的にカジュアルな状態を作り出すことで、動きを表現しています。」

セシリエ・マンツのラグのデザイン哲学に触れると、彼女のこだわりがひしひしと伝わってきました。素材そのものの魅力を引き出すこと。そして、日常に寄り添う快適さを追求する姿勢。彼女の哲学が詰まったラグは、空間に温かさと心地よさを与えてくれるでしょう。

 

ハンドタフテッドラグ 2種

機械を使って一本一本生地に糸を打ち込む技法

『Ålegræs(オーレグラス)』

KASTHALL

『Spire(スピーレ)』

KASTHALL スピーヤ

 

ウーブンラグ(平織り) 2種

織機を使って糸を縦横に交差させて織り上げる技法

『Korn(コーン)』

KASTHALL コーン

 

▼『Gryn(グリュン)』KASTHALL

 

詳しくはこちらのBLOGで商品紹介をしておりますのでご覧下さい。

 

商品名や色名の由来

「この名前はどうやって決めたのだろう?」と疑問に思っていたのですが、セシリエ・マンツが北欧の自然や風景からイメージして、デンマーク語でひとつひとつ名付けたのだそうです。

例えば、アマモ(海草)が由来のÅlegræsは、その名の通り、海草の柔らかで揺らめく姿を彷彿とさせるデザイン。触り心地はふかふかとしていて、見ても触れても癒されます。それぞれの名前の由来を知り、より愛着が深まりました。


商品名の由来

 

▼Ålegræs=海草 
海の中でゆらゆらと揺れる海草のように、毛足が優しく包み込んでくれます。

KASTHALL

 

▼Spire=草木の芽 
躍動感のある新芽が大地から力強く伸びる様子が目に浮かぶようなデザイン。シャリっとした触り心地で清涼感があります。

KASTHALL

 

▼Korn=穀物
厚みのあるザクっとした織りで、表面の凹凸が足裏に心地よい刺激を与えてくれます。凹凸が光の陰影を生み出し、豊かな表情を見せてくれます。
KASTHALL

 

▼Gryn=粗挽き穀物 
Kornによく似ていますが、比較するとGrynは厚みが薄く、目がギュッと詰まっています。触り心地は硬めでしっかりとしており、凹凸感はあまり感じないスッキリとした織りです。

KASTHALL

そして、彼女との会話の中で、デザインのほかに“色”についても伺うことができました。

「カラフルにするために色をたくさん使うという感覚は、あまり持っていないんです」そう語る彼女の言葉が印象的でした。

今回の新作ラグコレクションでは、同じコンセプトでありながらも、織り方によって色の見え方が異なるという、興味深い試みがなされています。

KASTHALL
▲色は全てKalk(カルク)
 

彼女が意識したのは「落ち着いた色味」。各デザイン5色ずつのカラーバリエーションがあり、色名も商品名と同様、自然や風景の一部から切り取った素敵な名前が付けられています。

「決して安いお買い物ではないので、それが今の流行りやお気に入りだからとかではなく、ずっと使い続けられる色なのかどうかを考えました。」セシリエ・マンツは、ラグが生活の一部となるものとして、色の感覚を捉えています。

彼女の言葉には、ラグという存在に対する深い愛情と、長く愛用できるものを提供したいという強い想いが込められていました。

 

色名の由来

 
▼Øresund(オアスン)=デンマークとスウェーデンにまたがる海峡

KASTHALL オアスン

 

▼Kalk(カルク)=石灰

KASTHALL

 

▼Salvie(サルヴィ)=植物のセージ

KASTHALL

 

▼Rimfrost(リムフロスト)=霧氷

KASTHALL

 

▼Klint(クリント)=崖

KASTHALL

 

▼Strå(ストロ)=麦わら

KASTHALL

北欧の風景からインスピレーションを得ているからこそ、その柔らかな色合いは見ているだけで心が穏やかになり、見惚れてしまう美しさがあります。

 

個人的に気になった色は、Salvie(サルヴィ)というくすみ感のあるグリーン。

KASTHALL

色味のあるラグをお部屋に取り入れるのは、難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、Salvieのグレーがかったグリーンの優しい色合いは、どんなお部屋にも馴染みやすく、まるで自然の森の中にいるような、リラックスできる空間を創り出してくれます。

 
最後に、会場で展示されていたセシリエ・マンツがデザインした家具をご紹介します。

セシリエ・マンツが手がけた家具

KASTHALL

 

KASTHALL
MARUNI COLLECTION(マルニコレクション) / EN(エン)ラウンドテーブル

 

KASTHALL
▲MARUNI COLLECTION(マルニコレクション) / SHOTO(ショトー)コーヒーテーブル
 
 

彼女がデザインした作品は、時代を超えて愛される普遍的な美しさを持っています。ミニマルで美しいデザインでありながら、見た目だけでなく使い心地も良く、使うほどに愛着が湧きます。世代を超えて受け継いでいくことができ、あなたの暮らしをより豊かに、そして穏やかな気持ちにしてくれます。

 

他にもCONNECTで取り扱う、セシリエ・マンツが手掛けた商品はこちらからご覧いただけます。


まとめ

セシリエ・マンツの世界観に浸り、時が経つのを忘れるほどでした。作り手の想いを直接伺い、作品への理解がより深まりました。彼女の北欧の息吹を感じられるラグで、あなたのお部屋も彩ってみませんか。

 

KASTHALLのラグ一覧は下記バナーから

 

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この記事を書いた人

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CONNECT東京スタッフです。インテリア・建築・アートが好きで、休日は美術館やアート展、建築物を、訪ね歩くのが楽しみです。心地良い空間作りのお手伝いができるよう、日々北欧インテリアの勉強に励んでいます。

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