フリッツ・ハンセン庵プロジェクト#3 ープロジェクトに込めた想いー
こんにちは。スタッフの本宮です。
ついに先週土曜日から瀬戸内国際芸術祭が開幕!デンマークの家具ブランドFritz HansenとCONNECTの本島コラボイベント「フリッツ・ハンセン庵」もオープンしました!
フリッツ・ハンセン庵特集の第3回となる今回は、このプロジェクトに込めた想い、そしてCONNECTがこれからも取り組んでいきたいことをお話ししたいと思います。
前回のブログはこちら↓
#1 -“椅子だけじゃない”フリッツ・ハンセン-
#2 -ついに完成!空き家×北欧インテリアのチカラ-
「フリッツ・ハンセン庵」とは
丸亀市本島の町並み保存地区である笠島地域の一軒の空き家をリノベーションし、フリッツ・ハンセンのインテリアでコーディネートした、期間限定の無料休憩所です。フリッツ・ハンセンの世界を実際に座って堪能していただけます。
[場所]笠島まち並み保存センターすぐそば
[利用可能日時] 9/28(土)-11/4(月) 10:00-16:30 (木曜定休)
「シンプルで心地よい暮らし」と「住み心地のよい地域」
フリッツ・ハンセン庵が完成し、長く人が住んでいなかった空き家が、北欧インテリアのチカラで息を吹き返しました。古い日本家屋に北欧インテリアがとても馴染み、人を惹きつける心地よい空間が出来上がりました。
CONNECTではシンプルで心地よい暮らしを提案するなかで、ずっと長く愛着を持って使っていただけるものを選んでいくうちに北欧インテリアにたどり着き、メインで取り扱いをしています。北欧では、家具は自分たちだけでなく、子や孫など次の世代へ受け継いでいく文化があり、長く使えるシンプルなデザインと丈夫なつくりのものが選ばれ、そして作られています。
シンプルで心地よい暮らしを実現するため、お客様にインテリアを提案していくなかで、家の中だけでなく、暮らしている地域についても考えるようになりました。住み心地が良く、子供たちがずっと住みたい町、たとえ外に出ても戻ってきたい町であってほしい。そう考えたとき、CONNECTの周りでも目立ってきている空き家について、このままで住み心地のよい地域と言えるのかと、空き家問題に取り組むようになりました。
身近な空き家
突然ですが、みなさんの身近なところに空き家はありますか?
私の身近なところでも、愛媛にある祖父母の家は空き家になってしまっていて、風を通すために父が時々行っています。主人の祖父母の家も空き家になってしまっていて、自分の親がいなくなったとき、私の手元にはいったい何軒の空き家が残るんだろうと不安になることがあります。
CONNECTのある四国は全国の中でも空き家率が高く、こんな話は我が家だけでなく、周りでも聞こえてきます。2013年の総務省調査によると全国の空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況になっているそうです。田舎の大きく立派な家も、子供は自分の家を別で新しく建てていたり、親と同居しない人も多い現代では、家族で家を受け継いでいくという昔のやり方は上手くいかないのかなと考えたりします。
そうした中で、CONNECTが空き家について考えるうえで大切だと思うことが2つあります。1つはインテリアのチカラを使って、もっと気軽に空き家を生かして遊んでほしいということ。そしてもう1つは、家族単位ではなく地域で空き家を生かしていくということです。
「インテリアのチカラ」でもっと気軽に空き家を生かす
空き家の活用というと、住めるように直す工事にお金がかかる、今すでに住んでいる家があるから必要ないといった声が聞こえてきます。確かに、住むことはいろいろハードルが高いかもしれません。ただ、近所の人とお茶を飲む場所や、週末キャンプに行くような気持ちで使える場所にするなど、もっと気軽に生かして遊べる使い方があるのでは。
そこで良い働きをするのが、フリッツ・ハンセン庵で見た「インテリアのチカラ」です。家具が何もない広いスペースでは、どこか落ち着かなかった空間が、フリッツ・ハンセンの家具を置き、照明を灯したことで、心惹かれる落ち着く空間になりました。
そこに大がかりな工事は必要なく、インテリアであれば1つのお気に入りの家具を置くことから、1部屋からでも使い始められます。そしてそこがお気に入りの場所になれば、もうお荷物だと思っていた空き家じゃなく、別荘(!)と言えるかもしれません。
フリッツ・ハンセン庵には、あえて昔のままの土壁と床を残し、工事をしていない部屋が1つあります(上写真)。床にシミがあったり、壁が汚れているところもありますが、それも味ととらえ、隠れ家のように楽しむという考え方もあると思います。このプロジェクトを通して、「インテリアのチカラ」と「空き家の可能性」を感じてもらえるとうれしいです。
「地域」で空き家を生かす
もっと気軽に空き家を活用してほしいと言っても、空き家にもそれぞれ事情があり、家族だけではやっぱり限界があると思います。そこで、家族単位ではなく地域で空き家を生かしていくことが必要だと思っています。CONNECTがある香川県丸亀市では、増加している空き家や空き店舗を地域でどうにかしようとリノベーションまちづくりに取り組んでいます。
CONNECTも関わって「家守会社」というのを立ち上げ、丸亀で事業をしたい方と空き家オーナーのマッチングを行ったり、リノベーションなど些細なことでも相談できるところを作りました。「やりたいができる、出番と居場所があるまち」を目指し、空き家をもっと活用しやすい仕組みを作っていきたいと思っています。
リノベーションまちづくりについて詳しくはこちら↓
丸亀市リノベーションまちづくりのススメ
地元の企業が地元を良くするという、当たり前のことに取り組みたい
フリッツ・ハンセン庵のある丸亀市本島は、江戸時代、巧みな操船と造船の技術で全国に名を馳せた塩飽水軍の本拠地として栄華を極めました。そのため、集落には小さいなりに贅を尽くした立派な家が残っていて、笠島地区は江戸末期から昭和初期に建てられた100棟あまりの建物が残る重要伝統的建造物群保存地区となっています。
そんな歴史と文化が残る本島ですが、昭和35年に2500人いた人口は平成30年には326人に大きく減少し、過疎と高齢化が進んでいます。CONNECTが本島と関わるきっかけになったのは、2017年にデンマークの大学生が本島に約2週間滞在し本島の活性化案を考える取組みを一緒に行ったことです。改めて、地元にあるこの最高の場所をこのまま放置しておくなんてもったいない!と思い、CONNECTなりにできることをやろうと色々と模索しはじめました。
本島観光案内所内で営業されていた定食屋さんが今年5月に廃業された後を引き継いで、カフェ「Honjima Stand」を始めたり、現在は空き家をリノベーションして、島の人と外の人をつなぐゲストハウスを作るプロジェクトが進行中。
Honjima Standプロジェクトについて詳しくはこちら
KADKリノベーションプロジェクトについて詳しくはこちら
都市部や他の地域と競うのではなく、本島の持つ魅力を掘り起こして発信し、外の人との橋渡しをしていきたいと思っています。そして自分たちだけでなく、フリッツ・ハンセン庵がフリッツ・ハンセンとコラボして、より魅力的な企画となったように、外の人と協力をしながら、より広く発信していければと思います。
地元の企業が地元を良くするという、当たり前のことに取り組み、そして住み心地のよい魅力ある地域になっていくよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
まとめ
長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
このプロジェクトを見ているうちに、我が家の空き家でももっと遊べないかと考えるようになりました。まずは照明を変えてみようかなとか、ソファを置いてみようかとか。同じように空き家を持つ人にとっても、手がかかるお荷物と思っていた空き家が楽しい場所になり、不安が軽くなればうれしいなと思います。
そして、空き家を生かす輪が広がり、家具も家も、自分たちの代で買って捨てるという考えではなく、次の世代に受け継いだり、地域で循環する、サスティナブルな社会になっていくことを願います。
うちの空き家もどうにか生かしたいと思うが、どうしたらいいのか分からない。そんな方には、CONNECTのお店でインテリアのプランニングやリノベーションのご相談なども承っていますので、お気軽にお問い合わせください。空き家を生かした心地よい空間、そして住み心地のよい地域を一緒に作っていきたいと思っています。
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フリッツ・ハンセン庵プロジェクト
#1 ー“椅子だけじゃない”フリッツ・ハンセンー
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この記事を書いた人
CONNECT
こんにちは。ライフスタイルショップ「CONNECT(コネクト)」です。北欧のブランド(ルイスポールセン・フリッツハンセンなど)を中心に照明・家具・ヴィンテージ家具やインテリア雑貨をセレクトし、販売しています。 また、インテリアから考えるお家づくりも手がけています。