いまこそヒュッゲに学ぶ“心地よい暮らし”をつかむヒント -#3 北欧の若者に聞く「ヒュッゲな時間とインテリアの考え方」-

ヒュッゲシリーズの前回の投稿からもう1ヶ月が経ってしまいました。あっという間に季節が過ぎ、暑い暑いと思っていたのに、もう肌寒くなってきました。バタバタした日常を過ごしながらも、日暮れは早くなり、おうちの中でゆっくりしたい気持ちがムクムク湧いてきます。そんなとき、おうちの中でもっと“心地よい暮らし”をつかむヒントになるようなお話ができればと思っています。

第3回となる今回は、北欧の若者に聞いた「ヒュッゲな時間とインテリアの考え方」です。

前回、日本の暮らしにもヒュッゲはあふれているというお話をしましたが、やっぱり本場のヒュッゲはどんな様子か気になります。北欧の人たちって実際のところどんな生活を送ってるんだろう? 本やTVに出るような人たちじゃなくて、普通の人の普段の生活が見てみたい。どんなヒュッゲな時間を過ごしているのか、インテリアについてはどんな考え方なのか聞いてみました。どうぞお付き合いください!

 前回までのブログはこちら

 

北欧と日本を知る3人に聞きました

前回に引き続き、北欧出身で、CONNECTがある香川県丸亀市に滞在し、日本の文化に触れた経験のあるKADK(デンマーク王立建築デザインアカデミー)の学生3人(現在は卒業生)にインタビューしました。インタビュアーも前回に続き、デンマーク滞在経験のある今泉さんです。

ヨセフィーネ
写真左:Josefine Bols(ヨセフィーネ)デンマーク出身

アダ
Ada Zalecka(アダ)スウェーデン出身

ユリエット
Juliette Ringrose(ユリエット)ノルウェー出身

 

どんなヒュッゲな時間を過ごしていますか?普段の生活リズムは?

北欧の人たちはどんなヒュッゲな時間を過ごしているのでしょう。そして、バタバタ過ぎていく毎日の中で、どうやったらその時間ができるのか、普段の生活リズムについても聞いてみました。

Q.一番ヒュッゲな時間はどんな時ですか?

A.
〈ヨセ〉最もヒュッゲできるのは、仕事を終えて家に帰り、恋人に会う時!その時を一日中待ちわびていたので、ハグをしてキスをしたらもう私たちはヒュッゲできています。

〈アダ〉夕暮れ、夏、お昼過ぎ、朝ごはんを食べる時間です。

〈ユリ〉1日のどんな時間もヒュッゲな時間になります。

◇恋人に会うときが一番ヒュッゲとは!そんなキュンとすることがめっきりなくなった私としては羨ましいと思うばかりですが(笑)。恋人じゃなくても、友達や家族、自分の好きな人達との時間を大切にしようと思います。そして毎日のこと、例えば朝ごはんにお気に入りのパンやご飯のお供があれば、毎日ヒュッゲな時間に。

 

Q.一番お気に入りのヒュッゲな場所はどこですか?

A.
〈ヨセ〉自然の中で過ごすのが何より大好き。焚火をしたり、ゆっくり過ごします。

〈ユリ〉窓枠に座って、道ゆく人を眺めるのが好きです。上層階に住んでいるので、街を見下ろせるのです。

◇ヨセフィーネは太陽の下が大好きで、本島に滞在中も、いつも外にテーブルを出してご飯を食べていました。日本には四季があって、北欧よりも外で快適に過ごせる時間は長いのに、普段外で過ごすことは少ないなと思います。家の外や窓の外に目を向ければ気持ちが広がり、もっとヒュッゲを感じられるのかもしれません。

 

Q.平日と休日、どんなタイムスケジュールで過ごしていますか?

A.
〈ヨセ〉デンマークでは土日が休日です。わたしは平日の就業時間8時~16時の契約です。新しい仕事に就いたばかりの時は、仕事熱心な印象を与えるため、何日も遅くまで仕事しました。数ヶ月経過した後、コロナの影響もあり、長く働けば良いのではなく、最良の成果を残すことが重要なのだと学びました。そして、私の場合、自由な時間があればこそ最良の仕事ができます。休むことでエネルギーを蓄え、想像力、クリエイティビティを使うための時間もあります。新しいアイデアのためのインスピレーションが得られ、それが仕事にも役立ってくるのです。だから今では毎日16時に帰っています。

〈ユリ〉平日は学校に行き、夜はヒュッゲします。週末はお休みで、自分がやりたいと思うことをします。私は勉強をしている時も、それが自分にとってエキサイティングなことであれば、ヒュッゲしていることがあります。

◇仕事や学校と休息時間をきちんと分ける。それだけでなく、自分にとってエキサイティングなことは勉強でもヒュッゲになるという考えに少し驚きました。やらされているのではなく、自分がやりたいと思うことを大切にすることがヒュッゲを感じる秘訣なのかもしれません。

 

Q.休日はどこかに出かけますか?

A.
〈ヨセ〉はい。例えば金曜の夜にはサルサフェスティバルに行き、一晩中踊ったり。外に出かけ、楽しいことやクレイジーなことを経験するのが大好きです。夏はいつも外にいます。冬は自分の家や、友人の家にいることが多いです。

〈アダ〉いいえ、ほとんど出かけません。出かけたとしてもクラブには行かず、バーやパブに行ってビールを1杯飲んで、カードゲームをするのがヒュッゲです。

〈ユリ〉週末はよく出かけます。散歩や、公園に座ってのんびりしたり、カフェやバーに行ったりします。

◇外でにぎやかに過ごすのが好きな人、静かに過ごすのが好きな人、それぞれの過ごし方で、休日を楽しみ、リフレッシュしているようです。

 

Q.家事はどんな分担になっていますか?

A.
〈ヨセ〉うちでは母がしています。デンマーク人は一般的にジェンダーの役割や平等についてとても喚起されてきています。それは家庭にも当てはまりますが、私の両親のような年配の世代は、いまだに女性は家で掃除や料理をするものと考える傾向にあります。同じように男性が車を管理したり雑草を刈ったりします。ある意味バランスは取れています。

〈アダ〉私は友人とシェアして暮らしていますが、家事は均等に分けています。バランスが取れるように努力し、もし不公平だと思うことがあれば、オープンに話し合いできるよう気を付けています。

〈ユリ〉私は友人と住んでいます。食器洗いは交代でしたり、一緒にする時もあります。あまりルールは設けていません。広いところに住んでいるわけではないので、家事は多くありません。私も友人も料理が好きで、普段は自分の分を作りますが、二人とも家にいる時は一緒に作って食べます。一人で食べるよりも断然ヒュッゲです。

前回のブログで、北欧の人から見て日本の暮らしで疑問を感じることの「父親に比べ母親がしなければいけないことが多すぎる」という意見に、CONNECTのママスタッフは大きく共感していました。共働きも増えてきて、日本での家事バランスはまだ移行途中、そして不満があればオープンに話し合うことが大事なのかもしれません。

 

Q.家の掃除はどのくらいしていますか?

A.
〈ヨセ〉時間がある時にしています。私の両親は自営業のためとても忙しく、現在は掃除代行業を頼んでいます。私自身は週一回掃除をします。

〈アダ〉毎日の掃除はキッチンを布で拭く程度です。あとは週一で掃除機をかけ、月に一回少し念入りにキッチンとお風呂を掃除するくらいです。

〈ユリ〉一緒に住む友人と私が交代で、週に一回掃除をします。

◇掃除は毎日ではなく、忙しければ人に頼ることも。北欧の人にとっては、ヒュッゲこそが欠かせない時間、そのためには家事など他の時間を区切るという考えがあるそう。日本人は、しないといけないこと(仕事・家事など)をまず片付けて、残りの時間は好きなことをしてもいいと考えがちじゃないかと思います。平日働いて、土日は掃除と洗濯で終わってしまうという方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。まずは、自分の好きなことをする時間を少しでも決めて、それまでに終わらせる、できるところまでをやる、そう区切って時間を作ることが大切なのかなと感じました。

 

 

インテリアの考え方について聞いてみました

私たちが憧れて、取り入れたいと思っている北欧のインテリア。北欧で育ち、北欧に住む人たちはインテリアについてどんな考え方なのか聞いてみました。

 

Q.お気に入りの家具はありますか?

A.
〈ヨセ〉ダイニングテーブルがお気に入りです。みんなが集うための家具だからです。あと、ベッドも大好きです。実はベッドの下には畳を敷いています。

〈ユリ〉一緒に住んでいる友人が持っている美しい赤いランプが好きです。

◇雑誌のようにバッチリ決めたインテリアではないけど、お気に入りの照明があったり、さりげなく絵が飾られていたり、グリーンを窓辺に置いたり。インテリアへの関心は高く、心地よさそうな空間だなと感じました。

 

Q.家具はどのように手に入れていますか?選ぶときに大切にしていることはありますか?

A.
〈ヨセ〉持っている家具はすべてセカンドハンドショップで買いました。全て中古で、何年前のものか分かりません。選ぶときには、その家具が美しいかどうか、質が良いかをとても考慮します。私はスタイルがミックスされたものが好きです。私にとって重要なのはその家具のデザイナーが誰かではなく、家具が表現していることや特別な工芸品であるかどうかです。


 

〈ユリ〉私は家具をあまり買ったことがありません。今持っている家具は、他の人が使わなくなったものを手に入れたもので、何年ものかは分かりません。ユーズドの椅子何脚かと、木のテーブルを持っていますが、古くて美しいです。家具を選ぶときは良い素材かどうかが重要です。私はまだ学生なので、あまり家具にはお金をかけられません。ユーズドで素敵な家具をいくつも手に入れてきたので、運がいいと思います。

 

Q.使わなくなった家具はどうしていますか?

A.
〈ヨセ〉セカンドハンドショップに持っていくか、家族に譲ります。

〈ユリ〉使わなくなった家具はアパートのすぐ下にある再利用ステーションに置いて、それを必要な人が持っていけるようにしています。またはインターネットで売ることもあります。

◇北欧では、家族から譲られたり、中古品を譲り合ったりすることがとてもメジャーなようです。日本では、新生活を始めるとき、低価格のものでひと通り買い揃えることもあると思いますが、とりあえずで買ったものに慣れてしまい、買い替えるのは労力もお金もかかるし、妥協しながら使い続けることも…。見た目だけでなく良い素材のものを、必要な人にバトンしながら使っていく、それは使っている人もとても心地よいもので、サスティナブルにもつながります。

 

 

まとめ

いかがでしたか? ヒュッゲな時間とインテリアの考え方を聞いて、共通して感じたことは“優先順位を自分で決めている”ということでした。限られた時間を何に使うのか、周りの目やこれまでの慣習に囚われず、自分にとって大切なことに時間を設ける。インテリアについても、新品であることやデザイナーの名前に囚われず、自分が良いと思うもの、素材が良いものを選ぶ。自分が大切だと思うものには妥協しないということが、心地よい暮らしにつながるヒントなのかなと感じました。詳しくは第6回でもう少し考察していきたいと思います!

 

次回予告

次回のテーマは、これまでインタビュアーを務めてくれた今泉さんの「デンマーク留学滞在記」です。フォルケホイスコーレという大人の学校と呼ばれるところに留学された体験談はとっても興味深く、デンマークの教育制度や考え方についてもお聞きしました。ぜひお楽しみに!

 

【連載予定】

いまこそヒュッゲに学ぶ “心地よい暮らし” をつかむヒント
#1 デンマーク流ステイホームの過ごし方
#2 北欧の若者に聞く「北欧と日本のヒュッゲ」
#3 北欧の若者に聞く「ヒュッゲな時間とインテリアの考え方」
#4 今泉さんのデンマーク留学滞在記
#5 ヒュッゲのヒント①物より時間
#6 ヒュッゲのヒント②優先順位を自分で決める
#7 ヒュッゲのヒント③広く長い視点で考える
#8 まとめ

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CONNECT

こんにちは。ライフスタイルショップ「CONNECT(コネクト)」です。北欧のブランド(ルイスポールセン・フリッツハンセンなど)を中心に照明・家具・ヴィンテージ家具やインテリア雑貨をセレクトし、販売しています。 また、インテリアから考えるお家づくりも手がけています。

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