ヴィルヘルム・ラウリッツェンのプロダクト紹介 ~ ラジオハウス編 ~
建築家でありながら、インテリアデザインでも才能を発揮したヴィルヘルム・ラウリッツェンの家具や照明の数々を2回に分けてご紹介いたします。今回はラウリッツェンが1945年に手掛けた、デンマーク国営放送局 (現在はデンマーク王立音楽アカデミー)「ラジオハウス(Radio House)」のためにデザインされたプロダクトをご紹介します。
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ラジオハウス(Radio House)とは
ヴィルヘルム・ラウリッツェンの代表作のひとつがラジオハウス(1945 年)です。家具、ドアハンドル、そしてモダニズムのスタイルまで、ラウリッツェンが総合的に構想したトータルデザインとして、現在では遺産として登録されています。また、ラジオハウスは、ホワイエ、コンサートホール、オフィスなど、さまざまな機能を建物そのものの形で表現した機能主義の最も完成度の高い例として現在も評価されています。
外観には耐久性のある砂岩、内部にはグリーンランド産の大理石、真鍮、チーク材が使われ、ホワイエの天井はミネラルウールに牛革が張られています。
現在はデンマーク王立音楽アカデミーとなったラジオハウスの廊下には今も、学生たちが奏でる音楽が流れています。
ラジオハウスのロビーのために製作した家具「FOYER SERIES(ホイエシリーズ)」
△CARL HANSEN & SON(カール・ハンセン&サン) / FOYER SERIES(ホイエシリーズ)
ラウリッツェンは、このラジオハウス内部のすべての家具と照明をデザインし、VLA77 Foyer ソファ、VLA76 Foyerラウンジチェア、VLA75 Foyerベンチで構成される「FOYER SERIES(ホイエシリーズ)」は、2022年に創立100周年を迎えたVilhelm Lauritzen Architects(ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツ)とのパートナーシップのもと、100周年を記念しカール・ハンセン&サンで生産が開始されることになりました。
△CARL HANSEN & SON(カール・ハンセン&サン) / VLA77 Foyer ベンチ
オリジナルのデザインに敬意を表して再登場するFoyerシリーズには、FSC®認証を受けたオーク材と天然皮革の張地が使用されています。いずれもオーク材のフレームと、革張りの座面と背もたれが浮いているかのような独特の相互作用を生み出していることが特徴です。
△CARL HANSEN & SON(カール・ハンセン&サン) / VLA76 Foyerラウンジチェア
また、真鍮のネジが見えるエレガントな革張りで、丁寧に仕上げられています。
座面や背もたれには手作業で作られたボタンが施されており、その張り込みには手間のかかる精密な作業と職人技が要求されます。
3つのパーツから成るソファとチェアのアームレストと脚は、継ぎ目が目立たないよう細心の注意を払って手作業で磨き上げられています。このシリーズのスタイルは繊細ですが、そのデザインの核にあるのは、柔らかな座面と背もたれによる心地よさです。
Foyerシリーズは、現在もデンマーク王立音楽院となった象徴的な建物ラジオハウスで使用されています。
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VL45 ラジオハウスペンダント
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL45 ラジオハウスペンダント
VL45 ラジオハウス ペンダントはその名の通り、ラジオハウス(デンマーク国営放送局)のために特別にデザインされました。”VL” はデザイナー、Vilhelm Lauritzen(ヴィルヘルム・ラウリッツェン)のイニシャル、”45” は1945年の「45」これはラジオハウスの第一期工事が完了してできあがった年です。ラジオハウスの設計は1934年に始まりましたが、第二次世界大戦のため工期が遅れ、1941年に建物自体は完成したものの、完成は1945年になりました。工期が延びたことで、ラウリッツェンはあらゆるディテールを完璧に仕上げ、さらに建物内のさまざまな場所で使う照明器具をルイスポールセンと共同開発する時間が生まれました。そうしてVL45ラジオハウスペンダントとVL38シリーズ、VLリングクラウンシリーズ(後述)が誕生しました。
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL45 Radiohus pendant(ラジオハウス ペンダント) 370
1940年代半ば第二次世界大戦後からルイスポールセンのカタログに掲載されるようになりましたが、その後生産終了。しかし近年特に復刻を望む声が高く、2016年秋に待望の復刻。2019年にはФ175mmサイズも加わり、より広い用途やコーディネートが楽しめるようになっています。
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL45 Radiohus pendant(ラジオハウス ペンダント) 250
ラウリッツェンは1941年に創刊したルイスポールセン広報雑誌「NYT」の中で、ラジオハウスペンダントライトについてこう語っています。
「このランプのデザインでは、
埃を簡単に掃除できる、
シェードの底に汚れが溜まらない、
何かにぶつかっても簡単に割れない、
電球を簡単に交換できる、
眩しさが最小限である(どの角度からも)、
といった、いくつもの条件をクリアしなければなりませんでした。
さらに、必要に応じてダウンライトとしても使えることも求められました。
そしてスタイリッシュな見た目も条件でした。」
こうした条件を満たして誕生したVL45 ラジオハウス ペンダントは、機能的であるだけではなく、華やかさを備えながらもシンプルなデザインとなりました。ラウリッツェンがデザインした照明器具は名作ぞろいですが、なかでもラジオハウスのために生まれたシリーズは彼の代表作となりました。
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VLリングクラウンシリーズ
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL Ring Crown Wall(リングクラウン)ウォール / 1灯
VLリングクラウンシリーズは、VL45ラジオハウスペンダント、VL38シリーズとともにラジオハウスのためにデザインされました。VLリングクラウン1灯~7灯、ウォールランプも合わせ全6種ありますが、実際にラジオハウスで使用されたのはウォールタイプと1灯用のペンダントのみでした。しかしその後まもなくして、当時の図面に基づいたVLリングクラウンが発表されました。ラジオハウスは新社屋へ移転し、2008年以降に修復工事が行われ、その際に可能な限りオリジナルの照明を残した丁寧な作業が行われました。
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL Ring Crown 3(リングクラウン)ペンダントライト / 3灯
▷Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VLリングクラウンシリーズ一覧はこちら
▷VLリングクラウンシリーズについては、こちらのブログ『光の魔術師が考えた理想のペンダントライト。名作VLリングクラウンが復刻!』でも詳しくご紹介しております。合わせてご覧くださいませ。
VL38シリーズ
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL38 Wall (VL38 ウォール)
VL38テーブルランプは1938年に、VL45ラジオハウスペンダント、VLリングクラウンシリーズとともにラジオハウスのためにデザインされました。VLペンダントと同じく、1940年代半ば第二次世界大戦後からルイスポールセンのカタログに掲載されるようになりました。
こちらも近年復刻を望む声が高く、2016年秋に待望の復刻を果たしました。2017年秋にはブラックバージョンも登場し、多くの人々に愛されたレトロな外観と柔らかな曲線日のオリジナルデザインはそのままに、従来のバージョンよりもインパクトのあるデザインとなっています。
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL38シリーズ
▷Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL38シリーズ一覧はこちら
VLステュディオ
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL Studio(ステュディオ) ウォール 150 / 真鍮
VLステュディオは、VL45ラジオハウスペンダント、VLリングクラウンシリーズ、VL38シリーズと同時期にデザインされました。ラジオハウスでは当時、放送スタジオの外に赤/緑色のランプの点灯で放送中かどうかを示す”スタジオランプ”として使用されていました。そこからちなんだ愛称で、「VLステュディオ」と命名されました。ラジオハウス内の他の空間でもこのランプは使用され、“スタジオランプ”とは異なり、乳白のガラスシェードで温かみのある雰囲気を作り出すランプも使用されていました。
△Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VL Studio(ステュディオ) テーブル / フロア 320 / 真鍮
2022年春にルイスポールセンから復刻。“スタジオランプ”は「VLステュディオ ウォール」と名付けられ、そしてこのランプを現代的に再解釈し、フロアランプとしても使用できるテーブルランプ「VLステュディオ テーブル/フロア」を開発し、同時発売されています。
▷Louis Poulsen(ルイスポールセン) / VLステュディオ一覧はこちら
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この記事を書いた人
masaki
北欧家具の魅力を通して、日々の暮らしが心地良く豊かになる情報をお伝えしていけたらと思っています。夫、子ども2人、猫3匹との暮らしの中に少しずつ北欧インテリアを取り入れていくのが楽しみの一つです。