100年後に本気で向き合う 世界最高峰の家具ブランド PPモブラー

プロローグ

創業者 Ejnar Pedersen(アイナ・ピダーセン)の言葉


photo by PP Møbler official website

1953年に創業して以来、デザイナーのハンス J.ウェグナーとともに、数々の名作を世に生み出したデンマークの家具工房 PP Møbler(PPモブラ―)。これは、その創業者の一人であるEjnar Pedersen(アイナ・ピダーセン)が遺した言葉です。

アイナは2020年に97歳で他界するまで工房に通い、その生涯を家具づくりに捧げました。

 

 

2代目 Søren Holst Pedersen(ソーレン・ホルスト・ピダーセン)の言葉

また、アイナの息子であり、2代目代表 Søren Holst Pedersen(ソーレン・ホルスト・ピダーセン)が来日した際に行ったセミナーでのスピーチは、このデンマークの森の写真と次の言葉からはじまりました。

『 休日に森の散歩をして、この新緑の木の匂いを嗅ぐと、満たされた幸せな気持ちになります。』

PP Møblerは木への並々ならぬこだわりと愛情をもった工房で、「PP Møblerの家具を買うこと」イコール「木を買うこと」といっても過言ではありません。ソーレンの言葉からは、そんな木への想いの片鱗が伺えます。

 


photo by PP Møbler official website

PP Møblerは、3代続く昔ながらの家族経営の工房で、製造する家具は最高品質の木材を用いた職人技の光る一級品のみ。

家具が安価で手に入り、短期間で捨てられてしまうという時代にあっても、「何世代にもわたって愛され、大切にされる家具を作りたい」という自分たちの掲げる理想の家具づくりを貫き通してきた工房です。

冒頭でご紹介した2人の言葉には、そんなPP Møblerのエッセンスが詰まっています。

今回は、PP Møblerが紡いできたヒストリーと職人魂のこもった家具づくり、そして、木を次世代へ繋いでいくことに懸ける想いを、彼らの人となりにも触れながら、ご紹介していきたいと思います。

 

【1】PP Møblerの創業〜現在

1-1 PP Møblerの歩み


photo by PP Møbler official website

PP Møblerは、1953年にLars Pedersen(ラース・ピダーセン)とEjnar Pedersen(アイナ・ピダーセン)の兄弟がコペンハーゲン北部の小さな町 Lillerød(リレロッド)に設立した家具工房です。

創業当初は、ピダーセン兄弟を含む10人の職人たちで、他のメーカーの下請けとして家具のパーツ製造を行っていました。

その後、1960年代後半にはウェグナーデザインの椅子をPP Møblerの名前で販売するようになります。徐々にスタッフも増え、工房の広さも段階的に拡張されました。

1970 年代には、機械技術を上手に取り入れながら工房の近代化にも着手し、石油危機による注文激減というPP Møbler最大の危機をスタッフ一丸となって乗り切りました。

現在は2代目ソーレンの息子、Kasper Holst Pedersen(キャスパー・ホルスト・ピダーセン)が3代目の代表を務めています。

 

1-2 PP Møblerを支える職人たち


photo by PP Møbler official website

代表のキャスパーを含むほぼ全員が職人で、現在は総勢70名程のスタッフが在籍しています。

女性や、アジア・アフリカ出身者も多く、世界中から木工に情熱を燃やす職人が集まっています。

熟練の職人が若い職人たちに技術を継承していくことや、職人たちの創作意欲を高めるための取り組みも積極的に行っています。

PP Møblerの経営の根幹には、自分たちの利益だけを追求するのではなく、PP Møblerの家具を通して関わるすべての人が共に豊かになる社会を目指したいという信条があります。それは代表のキャスパーの次のような言葉からも伺えます。

『ここで働く職人たちみんなに、木工職人になってよかったと思ってほしい。だから、彼らが幸せな生活ができるような給料を出したい。』

『売る人がいるからこそ、作る人がいる。作る人がいるからこそ、デザインすることができる。チームワークが大切なんだ。』

 

1-3 PP Møblerとウェグナー 

PP Møblerを語るうえで欠かせないのは、デンマークを代表する家具デザイナーのハンス J.ウェグナー。出会いは1950-60年代、ウェグナーがデザインしたラウンジチェア(PP19/パパベアチェア)の骨組みをPP Møblerが下請で製造していたことがきっかけでした。

ウェグナーが初めてPP Møblerの工房へ品質検査に訪れた際、質の高いフレーム製作とアイナの職人としての考えに惚れ込み、そこから彼らの長きにわたる揺るぎないパートナーシップが築かれていきました。2人のこの信頼関係と友情こそが、PP Møbler発展の礎となりました。

 

「PP」という呼び名もこの特徴的なロゴも、ウェグナーの提案によるものです。

 

1-4 PP Møblerとテクノロジー

PP Møblerは、これまで機械技術を積極的に導入してきました。
機械を単なる道具としてではなく、家具作りにおける創造性と革新性を高めるための手段として捉え、職人技と機械技術が融合することでこそ、時代を超えて愛される高品質な家具を生み出せると考えているからです。

職人の手仕事だけにこだわらないこの柔軟性が、小さな家具工房を現在まで存続させてきた所以でもあります。

〈 PP Møblerで用いている主な機械技術 〉
・蒸気曲げ:堅い木材を水蒸気で柔らかくして曲げる方法。背もたれやアームレストなどの製造に使用。

・CNC加工:コンピュータ制御の機械で、木材を精密に切削・加工する方法。ジョイントの切断や複雑な形状の加工に使用。


photo by PP Møbler official website

機械の導入について、創業家の3人は、次のように語っています。

『妥協することなく、より良い道具を見つけ、それらを適切な方法で用いなければならない。

小さな手工具か、技術的に高度な機械かに関わらず、様々な木材の特性を理解し、機械をコントロールできる本物の職人でなければならない。

ものをどう作るべきかは機械ではなく、職人が決めることだ。』

 

ウェグナーも、家具作りにおける機械と技術の重要性を理解し、積極的に新しい技術を取り入れていました。特に、2001年に導入されたCNCマシンには高い関心を示し、その精度と可能性に大きな期待を寄せていました。

初めてCNCマシンを見た時は、「わぁ!私の現役時代にもこれがあったらよかったのに!」と感嘆の声をあげ、若い職人がマシンを使って作業する様子を半日観察していたほどです。

ウェグナーは、テクノロジーを活用することで、自身のデザインをより忠実に再現し、多くの人々に高品質な家具を提供できると考えていました。

 

 

 

【2】時間を超えて美しいものをつくりたい

2-1 仕入れる木材へのこだわり

PP Møbler社は、木に対して非常に強いこだわりと愛情を持った工房です。

木材の大部分はデンマーク国内または隣国ドイツから、オーク、アッシュ、ビーチ、メープル、チェリーなど、デンマークの森林に自生する堅木を仕入れています。

1本伐採したら2-3本植林するというパートナーの森からしか買わず、仕入先は創業以来一度も変わっていません。製材されたものではなく、森まで行き、木の状態を確認した上で仕入れる念の入れようです。

また、材料に使う木は切り倒すのではなく根から抜き取り、できた穴に盛り土をして苗木を植えています。こうすることで同じ場所で木を増やすことができますが、この作業に係る費用は莫大なものです。

 

2-2 一本の木で作ることへのこだわり

また、一つの椅子やテーブルを同じ一本の木から作ることができるように、一枚一枚の板に対してナンバリングをして管理しています。全世界をみても、ここまでやっている家具工房、会社はありません。

なぜ一本の木で作ることにこだわるのか?それは、「この世で使われる以上は一生美しい状態で使ってもらいたい。」という想いがあるからです。別の木からとれた材を組み合わせると、最初は何ともなくても、50年以上経過すると差が生じてくるため、同じ木からしか作れないというのは、当然のことだと考えています。

 

2-3 木材の含水率へのこだわり

さらには、反りやカビを防ぐために木材の含水率にもこだわり、業界標準では8-12%のところ、PP Møblerでは最終的に6%以下になるまで乾燥させることで、より強度と耐久性のある厳選された木材を使用しています。

たった数%の差ですが、乾燥させるほどひびが入りやすくなるため、木材の50-70%は家具に使用する前に撥ねられてしまいます。

こうして厳選に厳選を重ねた木材で作られたPP Møblerの家具には、年輪を重ねた木が鎮かにそこに佇んでいるような、そんな力強さと美しさが宿っています。

 

2-4 昔ながらの天然素材を使用した椅子張り


photo by PP Møbler official website

PP Møblerでは、椅子の中材に、麻・綿・馬毛などの天然素材を積極的に使用しています(化学繊維も一部使用していますが、将来的にはすべて天然素材に切り替える方針)。

ウレタン等の化学繊維とは異なり、素材自体が呼吸するため、座ると非常に気持ちがよく、身体が喜ぶ感覚を得られます。また、天然素材を用いることで、摩耗するのではなく、”馴染む椅子”として座る人の身体に寄り添うように変化してゆきます。

 

▲ PP19(パパベア)は、頑丈な木製フレームの上に、綿、ヤシの木の繊維、麻、馬の毛を使用して徐々に形をつくり上げていきます。

 

 

 

【3】100年生きてきた木の命をいただくことへの責任

3-1 PPフォレストの設立


photo by PP Møbler official website

PP Møblerにとって、森林は単なる木材の供給源ではなく、自然との共存と持続可能性を象徴する存在です。自然と環境を尊重することは、PP Møbler の基本理念でもあります。

2012年、地元の植物園や自治体等の協力もあり、新たな森林を造成するプロジェクト「PPフォレスト」を立ち上げました。地元の学校も参加し、4,000本以上のオークやアッシュの木が植樹されました。

 

3-2 次世代へと ” つなぐ ” 

『 自分たちが木材を使うからには、木を植えて繋いでいく責任がある。

100年から150年生きてきた木の命をいただいて家具を作っているのだから、20年30年で捨てられるようなものは作りたくない。

世界中のどんな環境でも、最低同じ年月は使われる家具を作りたい。』

これこそが、PP Møblerが最も大切にしている信条です。では、100年を超えて使えるためには何が必要か。強度と耐久性、そして何十年経っても100年経っても一緒にいたいと思うような洗礼された美しいデザイン、時代を超えていくデザイン。

PP Møblerはそんな家具をハンス J.ウェグナーとともに世に生み出し、1953年の創業以来70年以上その信念を貫き続けている、「100年後に本気で向き合う 世界最高峰の家具ブランド」です。

 

 

 

■ PP Møblerについての動画はこちら→YouTube

「北欧家具の巨匠 ハンス J. ウェグナーと強い信頼関係で結ばれた世界最高峰の木製家具ブランド PPモブラー」

 

 

 

■ PP Møblerの商品ページはこちら→WEB SHOP

 

 

■ ウェグナー生誕110周年イベント「ウェグナーと始める シンプルで心地よい 北欧の暮らし」開催決定!

ウェグナー展_札幌_PP19_パパベア_ハンス J. ウェグナー

今回ご紹介したPP Møblerの家具の展示もございます!詳細はこちらのブログをご覧ください。→『【札幌で8/30から開催】ウェグナー生誕110周年イベント「ウェグナーと始める シンプルで心地よい 北欧の暮らし」』

 

▽ウェグナー展開催記念!貴重な関連書籍を購入者全員にプレゼント!PPWEGNER本

 

 

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ichikawa

松山ショールームスタッフです。 CONNECTで働くきっかけは、一脚のセブンチェア✨ インテリア初心者で日々勉強の毎日ですが、そんな私だからこそできる切り口で分かりやすい情報発信をしていきたいと思います。

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