FH429 シグネチャーチェアを発表したフリッツ・ヘニングセンは、家具職人としての誇りとクラフトマンシップへのこだわりから、作る家具はすべて自分でデザインし、製品化していました。満足のいくものが完成するまで、数か月に渡り試作が繰り返されました。
シグネチャーチェアが完成したのは1954年。当時約20脚が製品として世に送り出され、それから半世紀を過ぎた2015年、カール・ハンセン&サンによって本格的な生産が開始されました。
長いキャリアの中、へニングセンの作風は次第により簡素化したフォルムを持つデザインに移行しています。そして最後に行き着いたのがこのシグネチャーチェア。へニングセンデザインの中でこれほどシンプルなデザインはありません。上品な曲線でこの上ない座り心地を創り出す。これが、ヘニングセンの最後のテーマでした。思わず座ってみたくなるようなソフトで温かいフォルム。浮いたようなアームが創り出すオーガニックな曲線。安堵感が全身を包み込むような素晴らしい座り心地をもつ椅子となっています。