ハンス J. ウェグナーの作品の中にはユーモアが重要な役目を果たしていることがしばしありますが、このバレットチェアもその兆候が分かりやすく出ている作品です。このチェアは建築学教授のスティーン・アイラー・ラスムセン、デザイナーであるボー・ボイエセンと就寝時の衣服をいかに効率的に整頓するかという長期にわたる話し合いの後に、ヨハネス・ハンセン社のために1943年デザインされたものです。
この話し合いの影響で、ハンス J. ウェグナーは遊び心ある彫刻的なデザインに多様な機能を持ち合わせたバレットチェアをデザインしたのです。背部はスリムな胴体にハンガーを乗せたようなデザイン、そして座面には収納スペースを設けました。
オリジナルは4本脚でしたがハンス J. ウェグナーは納得できず、さらに開発を進めました。その重い印象を3本脚にすることによって解決しました。これにより機能を削ることなく軽く、遊び心あふれるままのチェアを完成するに至ったのです。PP Møblerは1982年にこの3本脚バージョンの製造を引き継ぎました。