愛する人と過ごすダイニングテーブル。ポール・ケアホルムの名作、PK54
PK54は、自然美と機能性が共存した、時代を超えて愛される「ダイニングテーブル」です。
そこにあるだけで目をひく圧倒的な存在感がありながら、自然の美を感じさせる静かな佇まい。
ポール・ケアホルムの代表作であるPK61(ローテーブル)と共に大理石の美しさを最大限に活かした特別な作品です。
愛する人との過ごす時間を特別なものにしたいという想いから、奥様のハンナに捧げたダイニングチェアPK9と共にデザインされたPK54。
ケアホルムは、家族や大切な人と共に過ごす時間をとても愛おしく想っていたことが伝わってくるデザインです。
時間の流れを、見つめ直すテーブルPK54
澄んだ時間が流れるダイニングテーブル
PK54は、柔らかなフォルムから集まる人々を包み込むような印象を与えます。
大理石の天板は非常に頑丈でありながら、円形であることで親しみやすさを感じさせます。またステンレス脚を繊細なフォルムにすることで、大理石からも軽やかな美しさを引き出しています。
ひとつひとつ表情の違う大理石だからこそ、人はその美しさに目を奪われます。そこに自然と人が集い、緩やかに視線を結ぶ場となります。
機能性と素材の美しさを兼ね備え、人々の生活空間に暖かみと調和をもたらすPK54には、「明瞭な空間をつくりあげる家具があれば、そこで過ごす人々の関係性も風通しの良い澄んだものになる」というケアホルムの哲学が表れています。
世界最高峰の大理石を使用した円テーブル
ケアホルムはPK54をデザインする前に、「PK37」と「PK39」という円形の木製のテーブルを作りましたが、
直線的な木目と丸い天板の形状が自然界では成り立たないとケアホルムは考え、製品化はされませんでした。
自然の中で偶然生まれた、方向性を持たないランダムな模様を持つ大理石こそ、丸い形状の円テーブルの素材に相応しいと
彼は考え、PK54が生まれました。
また、ケアホルムは大理石の加工にもこだわりを持っていました。
ありのままの石の表情を活かしたザラザラとした仕様である「ロール仕上げ」と
ピカピカした光沢感ではなくマットで滑らかな「マットポリッシュ仕上げ」の2種類があります。
どちらの仕上げも自然光や照明が反射しても眩しくなく、大理石の柔らかな表情が伺えます。
▲マットポリッシュ仕上げ(グレーブラウン)
細部までつくりこまれたデザイン 完璧主義者ポール・ケアホルムのこだわり
美しい拡張リーフ
▲天板に拡張リーフをはめ込んだPK54(画像中央,ダイニングテーブル)
PK54は、天板サイズを拡張することができます。
テーブルの直径を140cmから210cmまで拡大し、最大12人が座れるように変更できます。これにより、さまざまなシチュエーションに対応できる柔軟性を持っています。
この拡張リーフは、6ピースの厳選されたメープル無垢材(無加工)で構成されており、天板にスライドしてはめ込むことができます。拡張リーフ同士は、裏面でゴム製のOリングによって固定されます。使用しない時は小さな溝付きのラックに収納でき、その拡張リーフの立ち姿すら、凛とした美しさが漂います。
▲収納した拡張リーフ(画像右下)
ケアホルムが考える拡張リーフは細部まで細かく設計されており、手作業で生産されています。
Oリングを装着する箇所には、小さなレリーフ彫刻のようなアタッチメント(連結)が手彫りされており、その細部にわたる職人技は、誇り高いアート作品のようにも感じます。
浮遊感あふれる脚の構造
きわめて明瞭な構造美は、PKシリーズ全体に共通する大きな特長です。
PK54は、「円形の大理石」と「4つの四角のステンレス脚」のみのシンプルな構成要素から成り立っています。
異なる素材がそれぞれの魅力を引き立てあい、完全に調和している様も実に見事です。
PK54は、存在感のある大理石の天板を、細くすらっとした脚部が軽々しく支えるコントラストがとても印象的です。
脚部に注目すると、四角形の脚の組み合わせ部分は、4本のネジで巧妙に組み合わさって、薄いステンレス脚ながら安定した構造になっています。
このテーブルの脚は、大小2種類の正方形のステンレス脚で構成されています。
大きな2つの正方形(赤)が天板と床をしっかり支え、大きい正方形の脚を支えるように小さい2つの正方形(青)が組み合わさった構造です。
大理石のテーブルは、脚のデザインによっては重い印象になってしまいがちです。
ケアホルムは、構造に可能な限り、正方形の脚を薄く仕上げ、あえて脚同士の連結部分に3mmほど隙間を空けることによって軽やかさと浮遊感を追究しています。
無駄な要素を極限まで削ぎ落し、幾何学的でミニマルな構造にしたことで、唯一無二のダイニングテーブルが生まれました。
デザイナー:ポール・ケアホルムの美学
ポール・ケアホルムは、1929年にデンマーク北西部の田舎町で生まれました。
15歳で家具職人に弟子入りし、18歳でキャビネットメーカーのマイスターの称号を取得。
ハンス J. ウェグナーのもとで様々なことを学び、バウハウスからも大きな影響を受けていました。
デンマークのクラフトマンシップの精神を継承しながらも、型にはまらない異色の才を示し続け、
北欧モダン家具の歴史に大きく名を残したデザイナーです。
PKシリーズは、51歳という若さで早世したケアホルムに敬意を表し、
1982年からフリッツ・ハンセンによって製造が開始されました。
彼の生み出した名作の数々は時代を超えて多くのファンに愛され、
現代の名だたるデザイナーや建築家たちからも、非常に高い評価を得ています。
時間と空間をつくる家具デザイン
ポール・ケアホルムは、自らを「家具建築家」と称することを好みました。
彼は“ただ通り過ぎるだけでなく、明確な人間関係が構築される空間”を目指し、
家具が空間に与える作用と、そこで生まれる人間の営みまでをも見据えて、ひとつひとつの家具を設計していったのです。
▼生前の自邸の写真 奥:PK11(チェア) 手前:PK31(ソファ)
ケアホルムのデザインは、徹底的に無駄をそぎ落とし、
構造を明確にすることで素材ひとつひとつの美しさが際立っています。
“家具が明晰な美しさを持っていれば、そこで過ごす人々の関係性も風通しの良い澄んだものになる”
そんなことを彼は考えていたようです。
美の追求
PKシリーズには、ポール・ケアホルムによる徹底的な美の追求が見てとれます。
家具は暮らしの中で、一般の多くの人に使われる実用的な工業製品です。
しかし同時に、ケアホルムは家具をつくるうえで、自らの美学を表現することにも一切の妥協を許しませんでした。
“美的感覚やデザインに価値を感じないのなら、段ボールに座っているようなものだ”
ケアホルムの家具デザインの背景には、このような確固たる哲学がありました。
▼1952年 チューリッヒの応用美術展の写真(右奥にPK25、手前にはPK60が並べられ、左奥にはPK0の座面が裏返しで吊り下がっている)
ポール・ケアホルムの大きな功績の一つは、それまで家具製作にあまり使われてこなかった木以外の素材を、非常に美しく機能的な素材としてデザインに取り入れたことです。
PKシリーズを象徴する代表的な素材は「スチール」。
ケアホルムは、“木材やレザーと同様に、スチールも風合いを増してゆく芸術的な素材だ”と考えました。
その厚みや表面の加工方法にいたるまで何度も試行錯誤をくり返し、
無機質で冷たい素材と思われていたスチールが、本当は木にも劣らない美しい素材であることを示したのです。
▼森の写真パネルを背景に、PK22のフレームがずらり。ケアホルムが自然と調和するデザインを追い求めていたことがわかる1枚。
ケアホルムの作品は、他の木製家具とは異質な素材とデザインでありながら、
有機的で、どこか自然の美を感じさせる豊かな表情をもっています。
そこには、“美しさの基準は自然界にある”と常に考えていた、彼の自然への憧憬が表れています。
卓越したセンスで描かれた曲線美。選び抜かれた素材のなめらかな手ざわり。澄明な構造と生き生きとしたプロポーション。
木々の伸びやかな幹や枝のような、自然の中に遥か昔から息づいている根源的な美しさを、
家具デザインを通して私たちに伝えてくれているように思えます。
リ・デザインの精神
ケアホルムは、偉大な先人のデザイナーや建築家に敬意を払い、彼らの作品を熱心に研究していました。
そのうえで、より一層そのデザインの本質に迫り、洗練されたものを生み出そうとする「リ・デザイン」の精神で、
先人たちを超えていこうと常に挑戦していたのです。
関わりのあったオーレ・ヴァンシャーやハンス J. ウェグナーといった北欧モダンの先駆者や、
ミース・ファン・デル・ローエをはじめとするバウハウスの偉大な先人たちから大きな影響を受け、
伝統と歴史の流れにしかと身を置きながら、常に新しい価値を生み出し続けたポール・ケアホルム。
彼の作品には、デンマーク家具の歴史と一人の人間の生き様が深く刻み込まれています。
ポール・ケアホルムについてもっと知りたい方はこちら
PK54のコーディネート例
PK54を囲み、視線が緩やかに繋がる時間を
▲PK54(中央,ダイニングテーブル)・チャイナチェア(ダイニングチェア)
幾何学的で明確な構造美は、どこに置かれても、どこから見ても、空間の主役に。
▲PK54(中央,ダイニングテーブル)・PK9(ダイニングチェア)・CONCERT(ペンダントライト)
サイズ
高さ69cm / 直径140cm
PK54に、拡張リーフ(PK54A)を付けることも可能です。
高さ70cm / 直径210cm
天板・カラーバリエーション
大理石(マットポリッシュ)
大理石
(ロール仕上げ)
ホワイト
ファウスケ大理石
(ロール仕上げ)
グレーホワイト
御影石
ダーク
CONNECTおすすめアイテム
▲大理石:グレーブラウン
グレーの濃淡の中に垣間見える優しいブラウンが表情豊かな大理石の美しさ感じられます。
大理石の種類は、ご注文のタイミングによってはお選びいただけます。
お手入れの仕方・お取り扱いの注意点
■大理石(天板)
https://www.fritzhansen.com/ja/sales-support/care-and-maintenance/marble
※ご注文いただくと同梱されている「ストーンウォッシュ」で汚れた際のメンテナンスも可能です。
↓使い方は以下の動画をご確認ください。
■ステンレス(脚部)
https://www.fritzhansen.com/ja/sales-support/care-and-maintenance/stainless-steel
在庫状況・納期・搬入について
PK54は現在国内在庫がなく、海外からの取り寄せとなっております。
納期の目安は約5か月です。
組み立て込み・木箱にてお届けし、設置・残材処理まで無料で行います。