爽やかなリラックス空間。抜け感を極めたラウンジチェア『PK4』
2023年、約70年の時を経てポール・ケアホルムの名作ラウンジチェア『PK4』が復刻しました。
1951年に美術工芸学校の卒業制作として伝説のラウンジチェア『PK25』をデザインした後、
フリッツ・ハンセンに入社したケアホルムは、より多くの人々に彼の卓越したデザインを届けられるよう、
のちの妻ハンナとともに試行錯誤を重ねました。
そして生み出されたのがこの『PK4』。
7本のステンレススチールと1本の長い麻ひもからなるシンプルさを極めた構造で、PK25の研ぎ澄まされたシルエットを引き継ぎながらも、生産コストを大きく下げることに成功しました。
PK4は、もともとは家族や友人のために数量限定で作られた椅子でした。
また、彼の作品の中で唯一、妻のハンナと共同で制作した椅子でもあります。
研ぎ澄まされたケアホルムの感性の裏にはいつも、身近な人を幸せにしたいという温かな愛情があったのです。
モダンでリラックス感あふれるPK4は、ミニマルな表現で素材の魅力を最大限に生かすケアホルムの美学をスッと生活の中に溶け込ませ、より身近に感じさせてくれる一脚です。
軽やかなくつろぎ感をつくりあげるラウンジチェア
ポール・ケアホルムは「自分が心から愛用できる家具だけを作る」という精神のもと、つくった家具を自邸で実際に使い、
納得したものだけを世に送り出しました。
「余白をつくる研ぎ澄まされた美しさ」と「くつろぎ感溢れる座り心地」を高次元で両立した唯一無二の家具。
それが、PKシリーズなのです。
PK4が生む、爽やかで澄んだ時間
PK4は爽やかな気分でくつろぐ時間が流れるラウンジチェアです。
まるでプールサイドでのんびりと陽の光を浴びているような感覚。
大切なだれかとお喋りをしながら、あるいはひとりで静かに本を読みながら、心が軽やかになっていくような時間を過ごすことができるでしょう。
ロープとスチールの織り成すやわらかな心地よさ
PK4の大きな特長は、座面と背面が麻のロープでできていること。
すき間が生まれることで風通しがよくなり、夏場も蒸れずに長時間快適に座っていられます。
麻も選び抜かれた最上の素材で、やさしい肌触り。
それでいて、しっかりした張り感で体にフィットし、安定した姿勢ですごすことができます。
PK25と比べると「しなり」がなく、やさしく落ち着いた座り心地。
背中とひざの裏にあたるステンレスのフレームにはロープが厚く巻かれており、固さをあまり感じません。
背面と座面の絶妙な傾斜もポイント。
背面の傾斜は肩甲骨のあたりまで背中をしっかりとホールドしてくれます。
座面の傾斜はついうたた寝してしまうような上向きの姿勢を作ってくれつつ、
ひざ裏のフレームに手をかけて楽に立ち上がれる、ちょうどよい角度に設計されています。
「人が使ってはじめて、その魅力が最大限に生かされる」というケアホルムの信念が伝わってくるようです。
差し込む光を美しく見せる、抜け感に溢れた空間に
PK4はポール・ケアホルムの生み出した椅子の中でも最も抜け感のある椅子といえます。
極限までスリムな太さに仕上げられたステンレスのフレームは、空間全体に軽やかさを与えます。
加えてケアホルムの家具は重心が低く、お部屋に余白を生み、すっきりとした広がりを感じさせてくれます。
どこから見ても計算された表情豊かな佇まいでありながら、空間に馴染み調和する飾らなさは、リビングルームやオフィスのラウンジで唯一無二の存在になることでしょう。
女性一人で簡単に持ち運べるので、気の向くままに様々なシーンで使うことができます。
また、麻ロープのすき間が、窓から入ってくる光をやさしく迎えてくれます。
ロープから抜けてくる光と影の美しいコントラストまで計算しつくしていたポール・ケアホルム。
素材本来の魅力を最大限引き出した柔らかな表情に、心を奪われます。
細部までつくりこまれたデザイン ~完璧主義者ポール・ケアホルムのこだわり~
職人の技術が光る、強度抜群のフレーム
PK4のフレームは7本のステンレススチールでできています。
選び抜かれた素材であることに加えて、非常に高度な溶接技術でつなぎ合わされていることにより、
何十年使っても壊れない、最高レベルの耐久性を備えています。
接合にネジを使わないことで、見た目のなめらかさを最大限に生かし、ステンレスの素材感がより一層引き立っています。
1952年にデザインされた当時、ケアホルムはこのステンレスの加工と溶接を友人のお父さんの鍛冶職人に委託していました。
優れたクラフトマンシップをもった人々に囲まれ、彼のものづくりのセンスは磨かれていったのですね。
品格のある質感を追求
ステンレスのフレームには「サテン仕上げ」という、表面をマットな質感に仕上げる加工が施されています。
サテン仕上げにすることで、表面で光が乱反射し、上質な落ち着いた光沢が生まれます。
この加工法は高級時計のブレスレット等にも使用されていて、熟練の職人による高度な技術が必要です。
新たな傷が目立ちにくいといった特性もあるため、安心して長く使うことができます。
フレームは直線の美しさが際立つ一方で、随所に柔らかな曲線が織り交ざる、そのバランスも見事。
研ぎ澄まされたシャープさがありながらも、自然美を感じられる柔らかな印象で、お部屋にすっと馴染み調和する静けさをもっています。
脚先のカーブはやさしげな見た目の効果に加えて、床を傷つけにくくするという機能性も兼ね備えています。
何年使ってもハリのある、素材感豊かな麻ロープ
座面と背面のロープは、帆船にも使われる高度な技術によって、
熟練の職人の手で時間をかけて張り込まれています。
また、体に触れる部分は麻でやさしい自然の風合いを感じられる一方で、芯にはナイロンが使われているため、耐久性が非常に高くなっています。
だからこそ長年使ってもヨレヨレにたわむことはなく、浅く腰かけても深く腰かけても、最上の張り感がずっと続くのです。
デザイナー:ポール・ケアホルムの美学
ポール・ケアホルムは、1929年にデンマーク北西部の田舎町で生まれました。
15歳で家具職人に弟子入りし、18歳でキャビネットメーカーのマイスターの称号を取得。
ハンス J. ウェグナーのもとで様々なことを学び、バウハウスからも大きな影響を受けていました。
デンマークのクラフトマンシップの精神を継承しながらも、型にはまらない異色の才を示し続け、
北欧モダン家具の歴史に大きく名を残したデザイナーです。
PKシリーズは、51歳という若さで早世したケアホルムに敬意を表し、
1982年からフリッツ・ハンセンによって製造が開始されました。
彼の生み出した名作の数々は時代を超えて多くのファンに愛され、
現代の名だたるデザイナーや建築家たちからも、非常に高い評価を得ています。
時間と空間をつくる家具デザイン
ポール・ケアホルムは、自らを「家具建築家」と称することを好みました。
彼は“ただ通り過ぎるだけでなく、明確な人間関係が構築される空間”を目指し、
家具が空間に与える作用と、そこで生まれる人間の営みまでをも見据えて、ひとつひとつの家具を設計していったのです。
▼生前の自邸の写真 奥:PK11(チェア) 手前:PK31(ソファ)
ケアホルムのデザインは、徹底的に無駄をそぎ落とし、
構造を明確にすることで素材ひとつひとつの美しさが際立っています。
“家具が明晰な美しさを持っていれば、そこで過ごす人々の関係性も風通しの良い澄んだものになる”
そんなことを彼は考えていたようです。
美の追求
PKシリーズには、ポール・ケアホルムによる徹底的な美の追求が見てとれます。
家具は暮らしの中で、一般の多くの人に使われる実用的な工業製品です。
しかし同時に、ケアホルムは家具をつくるうえで、自らの美学を表現することにも一切の妥協を許しませんでした。
“美的感覚やデザインに価値を感じないのなら、段ボールに座っているようなものだ”
ケアホルムの家具デザインの背景には、このような確固たる哲学がありました。
▼1952年 チューリッヒの応用美術展の写真(右奥にPK25、手前にはPK60が並べられ、左奥にはPK0の座面が裏返しで吊り下がっている)
ポール・ケアホルムの大きな功績の一つは、それまで家具製作にあまり使われてこなかった木以外の素材を、非常に美しく機能的な素材としてデザインに取り入れたことです。
PKシリーズを象徴する代表的な素材は「スチール」。
ケアホルムは、“木材やレザーと同様に、スチールも風合いを増してゆく芸術的な素材だ”と考えました。
その厚みや表面の加工方法にいたるまで何度も試行錯誤をくり返し、
無機質で冷たい素材と思われていたスチールが、本当は木にも劣らない美しい素材であることを示したのです。
▼森の写真パネルを背景に、PK22のフレームがずらり。ケアホルムが自然と調和するデザインを追い求めていたことがわかる1枚。
ケアホルムの作品は、他の木製家具とは異質な素材とデザインでありながら、
有機的で、どこか自然の美を感じさせる豊かな表情をもっています。
そこには、“美しさの基準は自然界にある”と常に考えていた、彼の自然への憧憬が表れています。
卓越したセンスで描かれた曲線美。選び抜かれた素材のなめらかな手ざわり。澄明な構造と生き生きとしたプロポーション。
木々の伸びやかな幹や枝のような、自然の中に遥か昔から息づいている根源的な美しさを、
家具デザインを通して私たちに伝えてくれているように思えます。
リ・デザインの精神
ケアホルムは、偉大な先人のデザイナーや建築家に敬意を払い、彼らの作品を熱心に研究していました。
そのうえで、より一層そのデザインの本質に迫り、洗練されたものを生み出そうとする「リ・デザイン」の精神で、
先人たちを超えていこうと常に挑戦していたのです。
また、PK25からPK4へ、そして後の代表作PK22へと理想のラウンジチェアを追求していったように、自分自身の作品にも常に向き合い、進化の可能性を探っていました。
関わりのあったオーレ・ヴァンシャーやハンス J. ウェグナーといった北欧モダンの先駆者や、
ミース・ファン・デル・ローエをはじめとするバウハウスの偉大な先人たちから大きな影響を受け、
伝統と歴史の流れにしかと身を置きながら、常に新しい価値を生み出し続けたポール・ケアホルム。
彼の作品には、デンマーク家具の歴史と一人の人間の生き様が深く刻み込まれています。
ポール・ケアホルムについてもっと知りたい方はこちら
PK4のコーディネート例
やさしい光の昼下がりを楽しむ、軽やかな憩いの場に
▲PK4(左・正面奥)・PK62(手前-小,ローテーブル)・PK63(手前-大,ローテーブル)・
LISSONI(右奥,ソファ)・
KAISER IDELL(奥,フロアランプ)・
IKEBANA VASE(卓上,フラワーベース)
オフィスのラウンジに並べて、爽やかで広々とした空間に
▲PK4(左・正面奥・右)・PK60(中央・右,コーヒーテーブル)・IKEBANA VASE(卓上,フラワーベース)
サイズ
高さ72cm / 幅62.5cm / 奥行き74.5cm / シートの高さ38cm
張地・カラーバリエーション
サテン仕上げステンレススチール / ナチュラル
ブラック粉体塗装仕上げスチール / ナチュラル
サテン仕上げステンレススチール / ブラック
オプションでクッションを追加できます。(本体と同時発注のみ可能です。)
バリエーションは3種類です。
キャンバス
(ナチュラル)
キャンバス
(ブラック)
グレースレザー
(ブラック)
FRITZ HANSENの公式サイトにて、張地・カラーのシミュレーションやAR機能を使った設置想定ができます。
ぜひお試しください!
https://www.fritzhansen.com/ja/categories/by-series/pk4/pk4
お手入れの仕方・お取り扱いの注意点
■ステンレススチール-サテン仕上げ(フレーム)
https://www.fritzhansen.com/ja/sales-support/care-and-maintenance/stainless-steel
■スチール-粉体塗装仕上げ(フレーム)
https://www.fritzhansen.com/ja/sales-support/care-and-maintenance/powder-coated-metal
■麻ロープ(座面・背面)
日々のお手入れは柔らかい布で乾拭きをしてください。
汚れを落とす際は無添加の固形石鹸を砕いてお湯でとき、布に染み込ませてやさしく磨いてください。
その後水拭きで石鹸を落とし、最後に乾拭きで水分をしっかりと拭き取ってください。
在庫状況・納期・搬入について
PK4は現在、
■麻ひも:ナチュラル / フレーム:ステンレススチール(サテン仕上げ)
■麻ひも:ブラック / フレーム:ステンレススチール(サテン仕上げ)
の2点は国内在庫があるため、納期の目安は約2~3週間です。
■麻ひも:ナチュラル / フレーム:スチール(粉体塗装仕上げ-ブラック)
は現在国内在庫がなく、海外からの取り寄せとなっており、納期の目安は約5か月です。
いずれも組み立て済み・段ボール梱包にてお届けし、設置・残材処理まで無料で行います。