幻のフロアランプが琥珀色のシェードで復刻
ヴィンテージ市場でしか手に入れることのできない幻のアイテムとなっていた、ポール・ヘ二ングセンがデザインしたフロアランプ。アームがシーソーのように動くことから「ウォーター・ポンプ」と呼ばれるようになりました。
その幻のウォーター・ポンプが2019年秋、数量限定で復刻されました。
シェードは、琥珀色の3層吹きガラス。アーム、支柱、ベースは経年変化を楽しめる無塗装の真鍮製になっています。
「北欧照明の父」ポール・ヘニングセンのデザイン
ポール・ヘニングセンとルイスポールセン社とのコラボレーションは1925年に始まり、1967年に亡くなるまで続きました。
ルイスポールセンのアイコニック的存在になっている「PH5」「3枚シェードのPHランプ」「PHアーティチョーク」など、彼のイニシャル「PH」が名前に付く照明はすべてポール・ヘニングセンがデザインを手がけています。
ヘニングセンがデザインした照明器具はすべて、「人間にとって良質な光を与える照明」という彼の哲学が貫かれています。
ヘニングセンが追求した対数螺旋のシェード
ヘニングセンがデザインした照明器具は美しい光のグラデーションが特徴です。
この光の秘密は、巻貝のカーブと同じ“対数螺旋(たいすうらせん)”と言う数学的な形が照明の傘(シェード)に応用されているからです。
このカーブを照明に応用したことは、ポール・ヘニングセンの天才的なひらめきとも言われています。
対数螺旋のカーブは、↓下図のように、光がどの角度から当たっても同じ角度で反射します。この仕組みにより、なめらかな光のグラデーションをつくることができるのです。
あたたかみのあるゴールデントーンの光
1920年代後半、ポール・ヘニングセンとルイスポールセンは新しい顧客層をひきつけるために色付きのガラスを導入しました。
琥珀色のガラスから広がるゴールデントーンの光は、一般家庭に電球が普及する前の石油ランプやろうそくのほのかな光の下で読書をしていた時代を思い起こさせたのかもしれません。
1930年代のウォーター・ポンプ
当時のモデルはトップシェードはイエローのメタル製(内側はホワイト)、ミドルとボトムシェードは乳白色ガラス、ベースには光沢のある真鍮が使われ、夕刻の読書や編み物に最適な照明となりました。
今回の復刻版はシェードに琥珀色の吹きガラスを採用しています。読書ランプとして完璧な機能を果たすだけでなく、温かみのある光で部屋を照らし、現代のインテリアに上質な雰囲気を与えます。
細部までこだわりの詰まったデザイン
スイッチはポール・ヘニングセンが1927年に発表したテーブルランプに採用されたもので、本体のアームの先についているので足元がすっきりします。
アームの先には限定アイテムの証である、PH(ポール・ヘニングセン)の刻印入りです。
コードはビニール製ではなく、ブラウンのテキスタイルコードで細部のこだわりが光ります。
シェードを支える見えない部分のねじもすべて真鍮が使われています。
ソファの手元灯に便利なかたち
PH 3/2 琥珀色ガラスフロアランプ(ウォーター・ポンプ)の独特な形は、細かな高さや角度を調整するためのもの。ソファの手元灯として、便利に使える機能的なフロアランプです。
支柱とアームの接続部分にネジとハンドルがついており、アームが上下、左右に動きます。またシェードの部分も動かせます。
アームとシェードが動かせるのでソファやラウンジチェアに座った時、ちょうどいい高さに動かして使えます。シェードの高さは、座った時の目線より少し上くらいに。電球はガラスシェードに覆われているので、眩しい光が目に入りません。
アームをコンパクトに収めてお部屋のコーナーに使うこともできます。壁に当たった光が反射しお部屋を明るくしてくれます。壁を照らすとお部屋に奥行きが出て広く感じることもできます。
PHフロアランプシリーズと比較
PHフロアランプシリーズはいくつかありますが、現行品で琥珀色のガラスが採用されているのはウォーター・ポンプのみ。アームが自在に動かせるのも、無塗装の真鍮でつくられているのもウォーター・ポンプのみです。(真鍮メタライズドは経年変化がありません)アームを伸ばせば最大168cmになるので他のPHフロアランプより一番高くなります。
ハンドメイドの3層吹きガラス
ハンドメイドで作られているガラスシェード。表面は光沢があり、内側はマット加工されているので眩しい電球の光が分散され、やわらかい光になります。しっかりとした厚みがあり、電球の眩しさをカットしてくれます。
目には優しい光ですが、下部にあるものはしっかりと照らしてくれるような形に設計されているのもPHランプの特徴。 読書灯にも十分な明るさがあります。
そして一枚一枚人の手で作られたガラスシェードなのでこの世に全く同じウォーター・ポンプは存在しないのです。
真鍮をヴィンテージに育てる楽しみ
ヴィンテージのウォーター・ポンプと今回復刻された「PH 3/2 琥珀色ガラス フロアランプ」を比べると、真鍮の経年変化後の雰囲気がよくわかります。
【BEFORE】
復刻されたウォーター・ポンプ。まだ新しい真鍮は黄金色にピカピカと輝いています。
【AFTER】
1930年に発売されたウォーター・ポンプ。
経年変化した真鍮の部分は濃く落ち着いた輝きになります。
Photo by Studio Schalling
真鍮のお手入れ
真鍮は亜鉛と銅が混ざってできています。身近なものだと5円玉が真鍮です。空気と触れることで酸化し、年月をかけて濃いアンティークゴールドの輝きになります。
ウォーター・ポンプの真鍮部分は無塗装なので手汗や湿気によって変色します。日頃のお手入れは乾いた布で拭くだけでかまいませんが、くすみや汚れが気になる場合は真鍮専用のクロスで磨くときれいになります。
数量限定、なくなり次第終了
ヴィンテージ市場でしか手に入れることができなかったウォーター・ポンプ。これまでも様々な限定品を発表してきたルイスポールセンですが、今回のウォーター・ポンプは1957年に登場してから実に62年ぶりの復刻となり、予想外で反響を呼びました。
生産は2019年の12月で終わっているので今ある在庫が無くなれば、もう手に入りません。
使い込むほどに美しくなるウォーター・ポンプ、フロアランプとして、手元灯として、琥珀色のあたたかな明かりにうっとりと、心地いい時間を過ごしてみませんか?
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