ポール・ヘニングセンの名前の頭文字から取った「PH」ランプには数多く種類があります。
「近代照明の父」とも呼ばれるポール・ヘニングセンは、1924年にパリの博覧会のためにルイスポールセン社と共同で開発した照明が高い評価を得たことがきっかけで、これまでに100種類以上のPHランプを作りました。
灯りと言えばキャンドルやオイルランプだった当時、PHランプは画期的な道具として、建築家やデザイナー達から愛されていました。その後、住宅用の照明として一般的に使われるようになり、現代も世界中で愛され続けています。
PH 5発表から40周年の1998年に復刻
PHランプの中で最も小さいPH 2/1 Table。PH 5が発表されてから40年経った、1998年にこのPH 2/1 Tableは復刻しました。
PH 2/1 Tableが復刻される前、PHシリーズ最小の2/1サイズは「ピアノランプ」と呼ばるピアノ用として人気のあったランプでした。シェードの大きさはPH 2/1 Tableと同じですが、支柱は傾斜があって約50度可動するものでした。PH 2/1 Tableは真っすぐな支柱で、場所を選ばずより使いやすい形となっています。
「ピアノランプ」と呼ばれていたPH 2/1
参照:Louis Poulsen(2001).「ルイスポールセンの光」
キャンドルのともし火のように光るシェード
PH 2/1 Tableは、PHシリーズの中で最小サイズ。小さなシェードに温かい光が灯る様子はまるでキャンドルのようです。
ずっと眺めていられる理由はシェードに隠されています。すべてのガラスに厚みがあり、透明・乳白・透明の3層ガラスが丁寧に、高度な技術を持った職人の手によってつくられています。表面はつるっとした質感で、内面はマットでサラサラになっています。このサラサラした加工はフロスト仕上げと言い、眩しい光をやわらかい光に変えてくれます。
ヘニングセンが追求した対数螺旋のシェード
ヘニングセンがデザインした照明器具は美しい光のグラデーションが特徴です。
この光の秘密は、巻貝のカーブと同じ“対数螺旋(たいすうらせん)”と言う数学的な形が照明の傘(シェード)に応用されているからです。
対数螺旋のカーブは、下図のように、光がどの角度から当たっても同じ角度で反射します。この仕組みにより、なめらかな光のグラデーションをつくることができるのです。
凛とした姿に隠されている小さなランプ
凛とした佇まいのそのサイズは、トップシェード(一番上のシェード)直径20cm、高さ35.5cm。重量も1.3Kgと軽いので、模様替えをしようと動かす時も持ち運びしやすいです。ベースの直径は12cmと、手軽にサイドテーブルやローボードへ置きやすく隣に小物も一緒に飾ったりとコンパクトサイズです。
適合ランプ: G9 ハロピンランプ 40W(電球は器具と同梱されています)
電源:中間スイッチ
コード:3m
組み立て方法について
組み立て方法はこちらの動画をご参照ください。
ボトムシェード(一番下のシェード)の下に2か所、ナットと呼ばれる回せる部分があります。これは1cm程高さが調節できるもので、回すと3枚のシェードが上下します。シェードが低すぎると電球が直接見えてまぶしくなり、逆にシェードが高いと1番大きなトップシェードに影が見えます。トップシェードの淵が電球の中心にくるように合わすとバランスが取れるので、光の変化を見ながら調整してください。
PH 2/1 TableとPH 3/2 Tableを比較
PH 2/1 Tableが発売された翌年にPH 3/2 Tableが発売されました。PH 3/2 TableはPH 2/1 Tableより一回り大きく、重量感があります。PH 3/2 Tableの方がシェードは9cm大きく、重さは1.2kg重いですが、PH 2/1 Tableより光が広がります。ベッドサイドや小さいサイドテーブルに置いて使うならPH 2/1 Tableを。チェストやサイドボードに置いて、より空間を明るくしたい場合はPH 3/2 Tableがおすすめです。用途や置きたい場所によって大きさを選んでみてください。
リビングにも、寝室にも。どこでも収まるサイズ
リビングはくつろぎの場所だけでなく、時にはワークスペースに変わることもあると思います。プライベートな空間と仕事が一緒になるとONとOFFの切り替えが難しくなります。ほっと一息つきたいとき、ぼーっと過ごしたいとき、ゆっくり過ごせるわずかな時間だとしても傍にあたたかな光があるとリラックス効果は高まります。サイドテーブルやサイドボードの上に壁面を照らすように置くと、あたたかな安らぐ空間を演出できます。
デスクの隅に置いて、勉強や仕事の束の間の休憩でやさしい灯りを見ているとリラックスできそうです。小さいサイズなので玄関やリビング、寝室で空間のアクセントになるランプです。サイドボードだとシンメトリーに2台配置して、その間にアートやオブジェを飾ってみるのもおすすめです。小さくてもしっかりとお部屋で存在感を放つPH 2/1 Table。数多くあるPHシリーズでもキャンドルのような温もりを感じられるのはこのサイズだからこそです。
「北欧照明の父」ポール・ヘニングセンとは?
Poul Henningsen(ポール・ヘニングセン) 1894-1967年
1894年、デンマーク中心部のオードルップに生まれ、高等学校を中退しテクニカル・カレッジで建築工法を学ぶ。自身の設計事務所をコペンハーゲンに設立後、ルイスポールセン社と協働を始め、複数のシェードから柔らかな光が降り注ぐランプを開発。良質な光を得るための機能的なデザインを生涯にわたり追及し、100種類以上のランプをデザインしました。また、照明以外にも、ジャーナリスト、アーキテクト、エディター、詩人、ソングライターとして多岐にわたり活動しました。特に彼の辛口の批評は有名で、無視できない論客として当時のデンマーク社会に強い影響力を放った人物です。
老舗照明ブランド、ルイスポールセンとは?
北欧・デンマークの照明ブランド。創業一族のポールセン一家は1800年代末頃から工具、電気用品の販売を手掛けていました。1924年にパリの博覧会のためにポール・ヘニングセンと共同で開発した照明器具が高い評価を得て、照明器具の発売を開始。これが100種類以上のラインナップを誇るPHシリーズの始まりとなりました。現在では、ルイスポールセンは近代照明のルーツといわれ、世界の照明デザインに大きな影響を与えている"北欧のあかり"となっています。