好きがあふれる、私のお部屋
どこにでも持ち運び、腰かけることができる便利なスツール。
お部屋をお気に入りで素敵な空間にと思うと、スツールひとつにも気は抜けません。
素敵な空間にしたいけど、何から取り入れたらいいのか...と迷われている方にもまず初めに Artek × Johanna Gullichsen のstool60を置いてほしいと思うのです。
Artek(アルテック)を象徴するデザインのひとつであるstool60と、Johanna Gullichsen(ヨハンナグリクセン)の特徴的なパターンを掛け合わせた、日本ではここでしか手に入れることができないスツール。
日本ではこれまで、座面がコットン生地の販売はされてきましたが、今回はより丈夫で汚れにも強い、ウール生地での販売を行うこととなりました。ウール素材というのが、ここでしか手に入らない理由なのです。
北欧のデザインの賢人と呼ばれるアルヴァ・アアルトと、独特なパターンで北欧のテキスタイルの伝統を新たな視点で解釈し続けるヨハンナ・グリクセン、この二人からなるスツールの魅力をお伝えします。
さりげない存在感で空間を豊かに
日本の織りからインスピレーションを受けたとされる生地のパターンは、北欧の住空間だけでなく、日本の和な住空間にもよく合います。
来客があった際に使用したり、灯りの下でスツールに座って本を読んだり。ただ何も考えずにぼーっと過ごす、そんな時間があってもいいのではないでしょうか。来客で出すスツールが素敵な張地だと、お客さんもきっと喜んでくれるはずです。
チェアとは違い、さっと持ち運べるからこそ、手軽に好きな場所へ連れて行くことができるのがスツールの魅力です。
そして、座らないときは部屋の隅に置いておく。それだけで空間に彩りを加え、アートを飾っているかのようです。
L-レッグのスツールには、当初の3本脚と後に製作された4本脚のタイプの2種類があります。
今回のスツールは3本脚を選びましたが、どちらのタイプにすれば良いのか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
3本脚の良さは、すっきりとした見た目でデザイン性が高いことです。最小限の脚の数はスタッキングした際も美しいバランスです。
座る場所によっては不安定で倒れやすくなりますが、座っても脚がつく方はご自身の脚が支えとなるため、あまり気にする必要はありません。
デザイン性を重視される方や、スタッキングをされたい方は3本脚がおすすめです。
4本脚の良さは、安定性に優れていることです。座ると脚がつかないお子様や、台として使用されたい方は、3本脚だと一方向に荷重がかかると危険なので、安定感のある4本脚がおすすめです。
長きに渡り愛され続ける、それぞれのデザイン
Artekのstool60は、1933年にデザインされました。座面と三本の脚という最小限の要素で形作られたシンプルな構造で、洗練されたデザインです。
「L-レッグ」と呼ばれる特徴的な脚の加工技術が最初に用いられたプロダクトでもあります。
豊富なバリエーションにより、集める楽しさがあり、何台も積み重ねるスタッキングが可能なため場所を取りません。
モダニズムの美学を採り入れて設計され、1935年に完成したヴィープリの図書館にいくつも置かれました。そして、現在まで世界中で愛用されている名作ともいえるスツールです。
1989年に創立されたJohanna Gullichsenは、時代を感じさせないデザインと耐久性を重視したコレクションです。単に流行し消費されるのではない「真に価値あるデザイン」を創造するブランドであること掲げ、持続可能なフィンランド国内生産に努めています。
たて糸とよこ糸のシンプルな組み合わせでデザインをつくるフィンランドの伝統織りの技法は、丈夫な張地を実現しています。
さらに、実用的で高品質かつデザインの優れた企業を称えるカイフランクデザイン賞を受賞しています。
審査員は、芸術的で創造的な作品と持続可能な連続生産を組み合わせることに成功したと称えました。
そんなふたつのデザインが合わさったスツールだからこそ、シンプルさの中にも遊び心が感じられ、上品で大人な雰囲気をまとった魅力的なものになるのではないでしょうか。
フィンランドを代表する二人のデザイナー
アルヴァ・アアルト
Artekの家具のほとんどは、フィンランドで生まれ育ったアルヴァ・アアルトによるデザインです。
フィンランドの田舎町クオルタネ出身のアアルトは、森林業務官の祖父と測量技師の父、郵便局員の母をもち、アラヤルヴィ、ユヴァスキュラという地方都市で少年時代を過ごしました。原風景は、フィンランドらしい森と湖に囲まれた大自然です。
建築やインテリアへの考えは、両親や祖父、自然に触れた幼少期から蓄積されたものであり、無意識の中にこそ建築と芸術に共通する源が深く根差しているとアアルトは信じていました。
アアルトが認めた建築と芸術に共通するもう一つの特徴は、あらゆる創造的活動の出発点として素材を扱い、利用することでした。
シンプルでモダン、機能主義的な形をフィンランドの木を使って表現できないだろうか、と終生このテーマに取り組み、フィンランドの木を使ったL-レッグをつくりだし、数々の名作を残しました。
ヨハンナ・グリクセン
ヨハンナ・グリクセンは首都ヘルシンキから北西へ約100km離れた町、ソメロで誕生しました。
著名な芸術家たちに愛された工芸学校で織りの技術を学んだ後、1986年よりテキスタイルデザイナーとして活動を開始します。
アルヴァ&アイノ・アアルト夫妻とともにアルテックを創設したひとりであるマイレ・グリクセンの孫でもあります。
彼女のデザインの軸となるものは、フィンランドのルーツであり、受け継がれる伝統と現代モダンとを融合させることにあります。
心地よい座面
今回の別注スツールは、座面がウールなので、座っていただくと張地のない通常のスツールとの違いをはっきりとわかっていただけるはずです。
腰掛けてまずはじめに感じるのが、お尻が冷たくない...!ということです。ヒヤッとしないので、冬本番になっても、座るときに身構えることはありません。
もちろん、座面に張地がないスツールに、必要なときだけシートクッションを使用していただくこともできますが、少し体を動かすとずれてしまい位置を直して...の繰り返しになってしまうことも。別注のスツールはウレタンの中材に白い生地で張ったヌードクッションをもとに、上からウール生地を張っています。その為、当たり前ですがどれだけ椅子の上で動いてもずれる心配はなく、いつでも座面がふんわりと温かいです。
また、ウールは『呼吸する繊維』と呼ばれることもあり、夏場は湿気を吸収することで蒸れを防止して爽やかな座り心地となります。そのため、ウールは季節を選ばずにご使用いただける素材です。
写真のモデル身長は156cmです。座面高44cmのスツールに座ると、床に足がつき、落ち着いて座ることができます。また、立ち座りが楽にできるため、キッチンで料理ができるのを少し待つ時間などちょっと座りたいときにも活躍してくれるアイテムです。
スツールの上にマグカップや植物などを置きたい方は、座面に張地がないものを選んでいただけたらと思いますが、座る用途が多い方はやはり、布張りがおすすめです。柔らかな掛け心地と、φ38cmの大き目の座面により、長時間座ってもお尻が痛くなりにくいです。
上質な素材とつくり
デザイン性はもちろんのこと、つくりにもこだわりが詰まっています。
1-バーチ材
フィンランド産の木材の美しさは、複数の樹種の混交林で生育することや、北欧の土に含まれるミネラル分の影響によるもので、こうした木々の中から樹齢80年もの木がArtekのプロダクトに用いられています。
アアルトは、一貫して自然の中にみられる造形から影響を受け、ほとんどの場合、自然素材を用いたモノづくりを行っていました。
また、Artekの自社工場では、無駄なく木材を使用するために端材を燃料にするなど、独自に森林の保全に貢献しています。
2‐L-レッグ
Artekがつくる家具のほとんどには、L-レッグという技法が施されています。
この技法ではまず、まっすぐな無垢のバーチ材に20cm程度のスリットを5本刻み、できた隙間にベニヤと接着剤を入れます。次に、機械で熱して曲げてから余分な部材を落として、残った隙間を木くずでパテ埋めします。そして最後に、仕上げとしてヤスリがけが行われます。 スリットにベニヤを挟むことで、曲げやすく、無垢材よりも強度のある部材になります。 3年の月日をかけて開発されたこの技術は、アアルトだけではなく、家具職人のオットー・コルホーネンのよき協力のもとできたものでもあります。
3‐座面のウール素材
ウールはチクチクするのでは...と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、セーターやマフラーのように直接肌に触れるものではないので、あまり気にする必要はありません。はじめは少しチクチクしていると感じる方もいらっしゃると思いますが、使い続けるうちに遊び毛がなくなり、馴染んできます。
ウールの特徴は天然の油分を含み、表面で水分をはじく性質があるため汚れに強いことや、耐久性が高いので長く使ってもすれにくいことです。Johanna Gullichsenのコントラクトコレクションは、耐摩耗試験(マーチンデール)を3万回をクリアしています。コットンと比べても耐久性が高く、インテリアに向いている素材といえます。
また、あらゆる繊維の中で、染め上がりの良さは群を抜いており、ずっと色褪せずに美しさが続くという特徴もあります。それは高い吸湿性と、ウールに含まれるアミノ酸が化学的に染料と強く結びつき、離さないためです。
コットンにはないウールならではの、少しくすんだような淡い色味は、お部屋全体を優しい印象にしてくれます。
Johanna Gullichsenのウール素材を使用したコントラクトコレクションは、ラプアという小さな町の織物工場で織られています。
フィンランドの首都ヘルシンキからは330kmほど離れた場所に位置し、夏は涼しく過ごしやすい20℃前後の気温ですが、寒い日にはー12℃になることも。昔から小さな町工場がたくさんあり、手仕事が盛んな地域です。
ウールの糸は、スイスにある紡績工場で作られています。この紡績工場では、糸の生産に伴う環境への影響と、糸を使う人の安全性の両方を考慮して生産されています。
また、環境への負荷を低減するだけでなく、資源をなるべく使わず製造し、労働者と消費者の安全を守る繊維業界へと発展させるというコンセプトのもと発足された、ブルーサイン認証を取得しています。
安価な素材はどこでどのように生産されたのか、記載がない為、ぞんざいに扱われていることがほとんどです。そんなものを私たちが買い続けると、自然が壊れ、未来につながるものづくりはできなくなるでしょう。動物や自然、生産者にも目を向けてものを選び、お金を払うことが、消費者である私たちの責任でもあります。
ウールについての詳しい情報はこちらからお読みいただけます。
味わいが増していく、経年変化
Artekの家具は、経年変化を楽しんでいただけます。
経年変化が残す傷や色の変化の痕跡を、フィンランドでは「パティナ」と呼び、それは魅力であり、価値であると捉えています。
写真はバーチのstool60と、別注のスツールです。stool60は2002年に製造されたものです。脚を見比べると、新しいものと比べて色が濃くなっています。
1930年代に製造された家具は、現在でもヴィンテージとして市場に出回り、長年にわたって愛されながら使用され続けています。そのため、Artekの家具は様々なヴィンテージ家具や雑貨との相性がとても良く、コーディネートの幅も広がります。
長くお付き合いいただくために
長い年月、愛着を持ってお使いいただけるよう、破損部の修理、部品毎の販売などにお応えしています。L-レッグ1本からのご購入も可能ですので、お気軽にご相談ください。
経年変化で色の変化を楽しめるバーチ材とウール素材の丈夫な張地は、長く愛用するためにとても良い相性です。
デザインや素材、いくつものこだわりが詰まった別注のスツールは、他のスツールと比べても目を引く特別なもの。
小さなスツールは、お気に入りの部屋にするための大きな一歩かもしれません。