フィン・ユールと言えばこの椅子 45チェアをご紹介します
世界一美しいアームを持つといわれる椅子45チェアは、Finn Juhl(フィン・ユール)が1945年の秋、家具職人ギルド展示会で発表しました。
▲1945年の45チェアを描いたフィン・ユールのオリジナルの水彩画。写真提供: Pernille Klemp, Designmuseum Danmark
今日、この椅子はデンマークの家具デザインにおいて最も革新的で象徴的な作品の1つとして広く認められています。美術史を研究したいというフィン・ユールの夢は、45チェアの大胆なデザインに反映されており、国際現代美術に対する彼の深い理解を示しています。
世界一美しいアームを持つ椅子『45チェア』
この45チェアの一番の特徴であるアームは、『世界一美しいアーム』と言われています。
アームと前後の脚部は流れるような緩やかな曲線でつながっています。手作業で製造していた当時は、まさに職人の腕の見せ所だったと言えるでしょう。どの角度から見ても優雅で美しいデザインは、見た目のみならず肘を置いたときの高さや角度がちょうどよく手や肘に馴染みフィットする素晴らしいアームです。
浮いているような座面のデザイン
▲ウォルナットの45チェア
前後の脚をつなぐ貫と、座面の間にスペースを作ることで、座面が浮いているかのような軽さを生み出しています。有機的な形状と相まって、独特の美しさと優雅さが表現されています。
▲フィン・ユールが描いた1945年の45チェアの原画。写真提供: Pernille Klemp, Designmuseum Danmark
フィン・ユールは、実用的な構造で考えるのではなく、彫刻家のような心構えで家具を形作りました。動きと生命力のある家具をデザインすること。家具の構造的に重要な要素と座っている人の両方を、まるで浮いているかのように見せることに誇りを持っていました。
張りのあるクッション性、座面と背もたれが緩やかな傾斜で心地よい
▲ウォルナット材の45チェアは、コーパスに「764」、クッションに「356」のカラーの「キャンバス2」テキスタイル張り
45チェアのクッション性は、中身がウェービングテープのため柔らかすぎず張りがあり、下からしっかりと支えてくれる感じがとても心地よいです。わずかに湾曲した背もたれは約25度、座面は約6度後ろに傾斜しています。
座ると自然に肘が上がり、アームに腕を置いて座ると背中の丸みに背もたれが沿うような形になっています。必要以上に後ろに倒れすぎず、起きすぎてもいないためラウンジチェアとしてもダイニングチェアとしても使用できます。
サイズや素材の詳細について
サイズ: W665×D730×H880(約mm)
座面の高さ:SH420(約mm)
素材(樹種について):オーク材または、ウォルナット材からお選びいただけます。
素材(張地について):レザーまたは、ファブリック、色をお選びいただけます。
デザイナー: FINN JUHL(フィン・ユール)
ブランド: HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)
※素材につきましては、多くの種類がございます。素材の詳細や、お選びいただく際は、スタッフがサポートさせていただきますのでお気軽にCONNECTまでお問合せ下さい。
Finn Juhl(フィン・ユール)とは
1912年デンマークのコペンハーゲン生まれ。1914年生まれのハンス J.ウェグナーやボーエ・モーエンセンと同世代のデザイナーです。フィン・ユール独特の発想と造形力を評価され、数々の素晴らしい作品を生み出したデザイナーであり『デンマークモダンの父』とも称されています。
彼は、幼い頃から美術に興味を持ちますが、父親から芸術の道に進むことを反対され、建築家になるべくコペンハーゲンの王立芸術アカデミーの建築学科に入学しました。そこで建物の設計やインテリアデザインを通じて現代美術への関心を持ち、独自の発想をもとに家具デザインを手がけるようになりました。
大学在学中に、建築家のヴィルヘルム・ラウリッツェンの事務所に勤務したフィン・ユールは、1937年の家具職人ギルド展示会で出展したのがきっかけになり、のちに自身のデザインスタジオを設立しました。
HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)とは
HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)は、2001年フィン・ユールの夫人ハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンにより、フィン・ユール家具の製造と復刻生産に関する権利を与えられました。デザイン当初に意図されたのと同じ価値と品質、フィン・ユールらしさである特徴的な仕上げと繊細な造形の実現を大切にフィン・ユールの家具を製造しています。
コレクションの背景にあるハウス・オブ・フィンユールの「生産と職人技」
フィン・ユールの彫刻的な家具を制作するには、膨大な量の作業を要します。
しかし、一つ一つの細部は、昔の家具職人の工房から来たかのように繊細で純粋でなければなりません。
また、私たちの次の世代も長く家具を楽しめるように耐久性のあるものでなければならず、最高級の素材を厳選することが、ハウス・オブ・フィンユールの最大の焦点となっています。
まとめ
いかがでしたか?『世界の椅子好きが憧れる1脚』『世界一美しいアームを持つ椅子』などと呼ばれフィン・ユールの代表作であり、世界に知られるフィン・ユール家具のアイコンでもある「45チェア」をご紹介しました。
斜めの貫や、シートがまるで浮いているかのようにフレームとの間に隙間が作られた特徴的なデザインは、この後のフィン・ユールの椅子デザインに多く見られ、彼の中期のデザインは、ここから始まったとも言えます。細部にまでこだわった流れるような曲線と、各パーツ全てが美しい曲面に削り込まれた様は、彫刻家のような心構えで家具を形作ったフィン・ユールそのものを現しているかのような美しい椅子です。