フィン・ユール チェアで始める心が豊かになる暮らし: デザインと快適性

椅子が一脚そこにあるだけで、見違えるほど空間が変わる体験をしたことはあるでしょうか?北欧家具を日々取り扱う私たちは、よくそれを体験します。中でもフィン・ユールチェアは格別で洗練された美しいデザイン、厳選された素材で細部にまでこだわった丁寧な物作り。彫刻のようだと称されるフィン・ユールの椅子には、そんな力があるようです。
そんなフィン・ユールチェアの中でもデザインと快適性が素晴らしい「ケッテルハットチェア」をご紹介します。

ケッテルハットチェアのデザインスケッチがフィン・ユールによって描かれたのは1951年。
そこには、「海外での生産と販売の権利はフィン・ユールに留保されています」と明確に書き記されています。それは、フィン・ユール自身が、この椅子がデンマークのみならず国外でも生産されることに確信を持っていたからでしょう。
フィン・ユールが世界に向けた自信作「ケッテルハットチェア」とは

▲KETTELHUT CHAIR(ケッテルハットチェア) / オーク材・ウォルナット材・オイル仕上げ / Sacho Zero(ゼロ)001
デンマークデザインの歴史の中で「黄金期」と呼ばれる1950年代、フィン・ユールが絶頂期に世界に向けてデザインした「ケッテルハットチェア」は、幅広で包み込むようなアームレストを備えた個性的な形の一人掛けチェアです。優雅な曲線を特徴とするフィン・ユール独特の発想と造形力を評価された作品です。
ヴィンテージ市場では、「SW 86」という名前で知られていますがこれは、元のメーカーであるVejen(ヴァイエン)という町のSøren Willadsen(ソーレン・ヴィラッドセン工房)にちなんだ名前です。
ケッテルハットチェアの名前の由来は?

▲KETTELHUT CHAIR(ケッテルハットチェア) / オーク材・ウォルナット材・オイル仕上げ / Sacho Cifrado 0231
前出の通りSW 86としても知られるこの椅子は、もともとデンマークで生産されていました。しかしフィン・ユールは国際的な野心を持っており、図面をアメリカのメーカーであるベイカーファニチャーに送りました。デンマークにとどまらずヨーロッパや、特にアメリカで注目を集めるようになり、彫刻的な形状と美しいデザインが多くの人を魅了したのでした。
そして今日2024年に復刻する際に、オリジナルの水彩画を個人的に所有しているベイカーファニチャーの元マーケティング担当副社長の「メアリー・エレン・ケッテルハット」の名前を称し、その名が付けられたのです。
「知ればもっと好きになる」フィン・ユールデザインが愛され続ける3つの理由
①デザインと快適性の融合が素晴らしい

ケッテルハット独特の幅広のアームレストは、どんな体制で肘を置いたとしても、しっかりと支えてくれます。また幅が広くてもアームレストの外側の厚みが少し薄くなっているので、すっきり美しく見えると同時に握りやすさも兼ねられています。木製のフレームは、オーク無垢材とウォルナット材の組み合わせで美しく構成されています。
②座り心地、素材へのこだわりが素晴らしい

▲KETTELHUT CHAIR(ケッテルハットチェア) / オーク材・ウォルナット材・オイル仕上げ / エレガンスレザー(Walnut)
フィン・ユールは自分自身の体を測定し、椅子のどの部分が座る人に作用するかを分析することによってデザインをしました。座面が後ろに少し傾斜している様子や、背もたれの高さと背中に沿うカーブなど、どれをとっても座り心地を考えてデザインされているのが分かります。また座面や背もたれのクッション性は、柔らかすぎず張りのある硬さのため、体が沈みすぎず、立つときも快適です。
③最上級のくつろぎ時間とワンランク上のインテリア空間を演出

▲Sørensen LeatherのレザータイプTerraを「Lime」カラーにしたケッテルハットチェア。フレームは、オーク無垢材とウォルナット
考えつくされたフィン・ユールのデザインは美しく、絵画や彫刻など素晴らしい芸術に触れた時のような感動で心が満たされます。座っているときも素材やディテールのよさが感じられ、空間を華やかに格上げしてくれる、まさに一生ものにふさわしい椅子ではないでしょうか。
素材とサイズについて
サイズ:W810×D740×H880/SH420(約mm)
素材(樹種について):[フレーム] オーク材 [アーム] アメリカンウォルナット材
素材(張地について):ファブリックまたは、レザーからお選びいただけます。
デザイナー: FINN JUHL(フィン・ユール)
ブランド: HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)
※素材の詳細や、お選びいただく際は、スタッフがサポートさせていただきますのでお気軽にCONNECTまでお問合せ下さい。
まとめ
SW86としても知られるこのケッテルハットチェアは、フィン・ユールのキャリアの絶頂期にデザインされました。当初デンマークで生産されましたが、デンマークにとどまらずヨーロッパや、特にアメリカで注目を集めるようになり、彫刻的な形状と美しいデザインが多くの人を魅了しました。優雅な曲線を特徴とするフィン・ユール独特の発想と造形力を評価された作品です。
Finn Juhl(フィン・ユール)とは

1912年デンマークのコペンハーゲン生まれ。1914年生まれのハンス J.ウェグナーやボーエ・モーエンセンと同世代のデザイナーです。フィン・ユール独特の発想と造形力を評価され、数々の素晴らしい作品を生み出したデザイナーであり『デンマークモダンの父』とも称されています。
彼は、幼い頃から美術に興味を持ちますが、父親から芸術の道に進むことを反対され、建築家になるべくコペンハーゲンの王立芸術アカデミーの建築学科に入学しました。そこで建物の設計やインテリアデザインを通じて現代美術への関心を持ち、独自の発想をもとに家具デザインを手がけるようになりました。
大学在学中に、建築家のヴィルヘルム・ラウリッツェンの事務所に勤務したフィン・ユールは、1937年の家具職人ギルド展示会で出展したのがきっかけになり、のちに自身のデザインスタジオを設立しました。
HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)とは

HOUSE OF FINN JUHL(ハウス・オブ・フィンユール)は、2001年フィン・ユールの夫人ハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンにより、フィン・ユール家具の製造と復刻生産に関する権利を与えられました。デザイン当初に意図されたのと同じ価値と品質、フィン・ユールらしさである特徴的な仕上げと繊細な造形の実現を大切にフィン・ユールの家具を製造しています。